【村田雅裕のスポーツ曲論】
「養狼計画」中国さまよう帝国主義的スポーツ観の〝上から目線〟
中国には独特のスポーツ観があるようだ。
4月15日付の米ニューズウイーク誌(電子版)が、大リーグ機構(MLB)が中国で野球普及に苦闘している姿をリポートしている。
13億人もの人口を抱える中国。MLBは「才能ある若者がたくさんいるはずだ」と4年前から、本格的に強化に乗り出したが、芳しい結果は出ていない。数人がMLBの球団とマイナー契約したが、野球への関心は低いようだ。
MLBはあきらめず、小学校などの初等教育で野球を取り入れてもらうよう奮闘。他のスポーツにはない投げる動作、バットを振る動作を低年齢時に習得してほしいからだ。だが「野球をやりたい」という動きは鈍い。中国の政府関係者は「試合は地政学的な意味を持つ武器である。国民あげての競争心で、ライバル国を押しのけ、この地域でトップになるという1つの方法なのだ。ライバルは何十年も野球が盛んである台湾、韓国、日本だ」とMLB側に述べたとされる。
この政府関係者の言葉は実に興味深い。「スポーツの試合は、地域での主導権を獲得するための武器」という感覚。そして、今から野球に取り組んでも日本や韓国に勝つには相当な年月がかかる。その年月に耐えてまで、野球をする必要はないとも読めるコメント。これだけ素直に「スポーツを政治利用する」と打ち明けた言葉はなかなかない。
決めつけることはできないが「アジアの覇権国であることを証明するため、スポーツで負けることは許されない」という身勝手な考え方はいただけない。
スポーツには、国民の一体感を醸成し、国家が主権を握る制度を安定化させる“効能”があるのは事実だ。五輪でメダル数を争うことで、国家の威厳を国民の心に植え付けていった歴史もある。だが、中国のようにスポーツと政治を一体的に考える国は少なくなったのではないか。
2002年にサッカーのワールドカップ(W杯)が日本で開かれたとき、日本のファンは各国代表のプレーに拍手を送り、素晴らしいプレーを堪能した。「日本代表以外は興味がない」という声は少なかったように思う。
一方で、中国は古き帝国主義の時代をさまよい、現代の扉を開けていないように映る。
中国のお家芸である卓球では「1強は競技の発展を妨げる」という考え方があり、外国人選手を育てる「養狼計画」を進めているという。狼とはライバルのこと。広州に他国の選手も利用可能なトレーニングセンターを設立する。中国卓球のレベルを上げるために、中国自らがライバルを育てる。まるで中国が卓球界をコントロールしているかのような上からの目線を感じる。
中華思想という言葉がある。「中国を世界の中心とみなし、外国、とりわけかつての朝貢国や日本など周辺の国々に対し、自らの主張や意見を強引に押しつける」(「中国人の歴史観」劉傑著、文春新書)との考え方だ。野球、卓球に関する言動はまさに中華思想ではないか。
この偏った思想が国際社会で理解されるだろうか。「覇権国という構図をアジアのスポーツ界に持ち込み、そのような行動をすることは一切、認めません」と明言させていただきたい。
(運動部編集委員)
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「いや、全部がそうだとは限らない」とか「自分の知ってる中国人はスポーツ精神を持っていた」とか言う人もあるだろう。
中国人の選手個人は仮にそうだとしても、競技団体の上部ともなると全く別ではないでしょうか。
中国人は全体としては非常に注意すべき民族だが、一方、自分自身に責任がないとことについては実にあっけらかんと話してしまう。
例の反日暴動の際も、内幕を平気で話して日本や世界に広まった。
全体のために自分や家族が我慢するという発想が(無論例外はあるだろうが)あまりないようだ。
中国とスポーツで関係する人は、(ライバル関係であれ、何であれ)中国人のこのスポーツ観をしっかり押さえないと、何も獲られないでしょう。
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アピール
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