先日も文化財が壊されたり放火されたりする事件が相次ぎました。困ったものだで済ますわけにゆきません。
浅草寺での損壊
浅草寺で仏像壊す、サウジアラビア国籍の慶大院生逮捕 他の寺でも損壊ほのめかす
2014.6.11 18:25(産経)[外国人犯罪]
11日午前1時10分ごろ、東京都台東区浅草の浅草寺で、「外国人風の男が仏像を壊している」と警視庁浅草署の交番に連絡があった。同署員が寺の敷地内で、ひびが入るなどした仏像4体を発見。本堂近くにいた男を同署に任意同行して事情を聴いていたところ、仏像を損壊させたことを認めたため、器物損壊容疑で逮捕した。
逮捕されたのは、サウジアラビア国籍で川崎市幸区南加瀬、慶応大院生、モハマド・アブドゥラ・サード容疑者(31)。「ほかの寺でも仏像を壊した」という趣旨の供述をしているといい、同署が確認を進めている。
逮捕容疑は11日未明、浅草寺で石製の地蔵菩薩3体と、銅製の観音菩薩1体を壊したとしている。
同署によると、被害にあった仏像は扉のないほこらの中や、野ざらしの状態で祭られていたという。
永平寺でぼや、放火か 法堂の引き戸焦げる
2014.1.27 20:39(産経)
27日午後0時40分ごろ、国宝や国の重要文化財を多数所蔵している福井県永平寺町の曹洞宗大本山永平寺の敷地内でぼやがあった。僧侶が消火し、けが人などはなかった。県警は放火された疑いもあるとみて調べている。
福井署によると、観光客が法堂の引き戸付近に置かれた新聞紙が燃えているのを発見し、通報で駆け付けた僧侶が雪をかけて消火した。引き戸の一部が焦げたが、けが人はなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昭和24年(1949)に法隆寺の金堂が火災で消失しました。壁画を模写作業をしていた人の失火とみられています。この事件は当時の社会に大きい衝撃を与え現在の文化財保護法が出来るきっかけになりました。
さて冒頭に2つの報道記事を貼りましたが、最近の文化財の受難は失火などではなく、意図的に壊したり火を点けたりする犯罪が多いです。
文化財保護法には末尾のあたりに少しだけ規定があります。
第百九十五条 重要文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
この規定では国宝を含んで重要文化財に指定されている物だけが該当します。
刑法をみてみましょう。浅草寺の事件で逮捕された「器物損壊罪」とは
これでは甘過ぎませんでしょうか。何百年か前の人が心血を注いで造った傑作であろうと、多くの人の信仰の対象であろうと、最高でもこの程度の刑です。
おまけに「器物」とは国語辞書的には「入れ物」ですが、法律用語では「他人の所有物」を指すので、持ち主が警察に訴えないと犯罪にすらならない親告罪です。
放火についてはどうでしょうか。
放火する対象物が何かによって幾つかに分かれているのですが、寺の本堂や神社の拝殿など、通常は人が住んでいない建物への放火は「非現住建造物等放火罪」が適用されるでしょう。
刑法第109条:放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
たったこれだけです。
1976年には京都の平安神宮(桓武天皇を祀る)が〝天皇制廃止〟を唱える左翼に放火され、全焼しました。
昨年末から今年1月にかけて、社寺の火災が相次ぎ、ほとんどが不審火です。
12月09日、栃木、八雲神社本殿が全焼。 12月17日、滋賀、一念寺本堂が全焼。 12月20日、和歌山、満願寺本堂が全焼。 12月24日、岡山、金山寺本堂が全焼。 そしてまた、 01月06日、福井、西誓寺本堂が全焼(住職が仏像を抱いたご遺体で見つかっています)。
全部外国人が犯人だとは言いませんが、日本の伝統文化が嫌いなのに日本に居る外国人は多いです。靖国への放火と全く無関係だと言えるでしょうか。反日行動から文化財を守らなければなりません。
放火や損壊が相次ぐのは法律が機能していないことを示しています。
「家に代々伝わる」お宝もその家にとって大切な物ですが、そのうち普遍的に日本人が「いいなぁ、凄いなぁ」と文化価値を認める物は全て文化財と言えます。
ただ、法規制では線引きが必要ですので、重要文化財(国宝を含む)に加えて、いろんなカテゴリー(登録文化財など)の国が指定する有形文化財、および都道府県・市町村が指定する有形文化財を包括的に、放火や損壊に対する罰を大幅に厳しくして、しっかりと守る法律が必要です。
祖先から受け継いだ大切な文化財は今を生きる日本人が大切に守り、伝えてゆかなければなりません。
仏像を破壊した者も永平寺に火を点けた者も許さない。