10月のスピカさまのブログ『国防パッチ』より転載させて頂きました。
(以下、転載記事)(下のタイトルをクリックして元記事に行けます)
日本に軍事マニアはたくさんいます。勇ましいことを言う右翼の人もたくさんいます。
軍事マニアは、中国海軍と海上自衛隊・米海軍が戦ったらどちらが強いか、ということに夢中です。
軍事マニアは、中国海軍と海上自衛隊・米海軍が戦ったらどちらが強いか、ということに夢中です。
しかし住民たちをいかに戦火から守るか、ということは考えたことあるのでしょうか?
たとえば中国軍が上陸して侵攻してきたら、どこにどうやって逃げて、身を守るつもりなのでしょうか?たとえば鹿児島湾に上陸してきたら、九州住民はどこに逃げる?
北朝鮮が核ミサイルを撃ってきて迎撃に失敗したら、住民はどうすればよいのか、知っているのでしょうか?迎撃に失敗してあと1分で東京に着弾するなら、ただおろおろするだけでしょうか?
中国軍が攻めてきたとき、交戦で手いっぱいの自衛隊・米軍が護衛してくれると思っているのでしょうか?
言っておきます。自衛隊・米軍は交戦で手いっぱいで、住民護衛の余裕はありません。
しかし日本には不十分ながら有事法制(国民保護法制)は整備されています。武力攻撃やミサイル攻撃やテロ発生時には、政府が司令塔となって自治体を指揮し、あらかじめ決められた(一部決めていない自治体もある!!)国民保護計画に基づき、自治体職員や消防・警察あるいは自衛隊によって避難誘導を行います。
しかし残念ながら犠牲は出るでしょう。爆撃やミサイルは容赦なく住宅地にも来るでしょう。東日本大震災時、多くの人が車で津波から逃げようとして大渋滞が発生し、津波にのみこまれたように、武力攻撃時は大渋滞が発生します。そして避難住民の大渋滞は戦地に向かう自衛隊・米軍の車列の妨げになると考えられます。
兵器の質が良いからと言って、日本では住民の犠牲が大きすぎ、自衛隊・米軍の足手まといになってしまい、とても防衛戦争に堪えられないと思わざるを得ません。
ちょっと詳しいだけの民間人である私ですら、このような想像は出来ます。以上のような疑問を、友人の幹部自衛官に相談したら、全く同感で、大いに危惧しているとのことです。
長くなってしまいましたが、本当に日本国が祖国を守るためには、日本国民全体が、
① 国民保護法制(有事法制)や国民保護計画の事を知っておく。(国民保護法制の啓発)
② パニックに陥らず、政府の避難誘導を信じて粛々と行動する。(同上)
③ 武力攻撃やテロに対して、役所頼みでなく自分で自分や家族の身を守れること。(自主防災・防衛体制の強化)
④ 極力自衛隊・米軍の行動の阻害をしない。(同上)
⑤ 民間人の犠牲に動揺せず、早期降伏を叫ぶことなく、徹底抗戦の意思を貫く。(これは長年にわたる国民への教育が必要。日本の現状では難しいだろうが、やるしかない)
を身につける必要があります。
※①~⑤は、実は地震・津波への防災対策と似ているのです。防災と国防は全くかけ離れたものでなく、延長にあるのです。(脅威の対象が、自然なのか人間なのかの違いだけ)
以上①~⑤が整っていなければ日本の国防は成り立ちません。
防衛力とは、以下の掛け算で成り立つ総合力です
軍隊の質と量×経済力×国民の意思と能力×政府の意思と能力×地政的特性 etc
どれが欠けてもボトルネックとなります。一番弱いのは国民だと思いませんか?
次回以後の記事で、どうすれば国民が犠牲に強くなれるのか、ということを論じたいと思います。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
怖い話をしましたが、民間防衛でおなじみのスイスや、民防衛でアジア一番と言われる韓国から学ぼうと思えば学べるのです。日本人も変わろうと思えば変われます!!すべては国民の意思です。私の好きなウィンストン・チャーチルの名言から。
屈伏してはならない。力に屈するな。一見敵が圧倒的であろうと。(チャーチル)
※推薦図書
・「民間防衛-あらゆる危険から身を守る」 原書房
・「有事から住民を守る―自治体と国民保護法制」 東京法令出版
※以下画像は、内閣府国民保護ポータルサイトにある国民保護パンフレットからの抜粋です。
民間防衛―あらゆる危険から身をまもる/原書房
¥1,620
有事から住民を守る―自治体と国民保護法制/東京法令出版
¥1,728