葛飾北斎の展覧会を見てきました。
平日なのに会場への入場に半時間以上並ぶ人気ぶりです。
北斎は誰にも分かり易いから、教科書にも出ていますね。
展示のためにボストン美術館の収蔵品がいま里帰りしています。
(これは「富嶽三六景」の「武州千住」)
ああ、この美しい絵が外国に出てしまったか・・・
版画ですから、これ1つが「本物」という訳ではないですが、保存状態が特にいい。
いや、嘆くまい。流出したからこそ完全に保存されています。
日本に現存しない作品も収集されて大切に保管庫で眠っていました。
ひとつひとつが秀作だから、どの作品の前にも人でいっぱいです。
ところで私が昔から強く惹かれていた大きな魅力は、画家としての凄い生き方です。
葛飾と名乗っているのは当時の「ど田舎」のイメージを逆手に利用したとか。雅号は30回も改めたという、引っ越しを93回したという。常に貧乏で、奇行がたくさん。そして満88歳まで生きた。(ちなみに当時の平均寿命は50歳以下です)
画狂老人はその雅号の1つです。俺はクレージーなんだ!と叫ぶ生きざまが偲ばれます。死の床に至るまで自分の絵に満足しませんでした。
自画像
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江戸時代の後半に、先に日本の陶磁器がヨーロッパでもてはやされ、輸出の際に無造作に丸めて、浮世絵が単なる緩衝剤として箱に詰め込まれていました。
目利きの画商たちがそれを見逃すわけありません。
浮世絵はヨーロッパに一世風靡し、モネやゴッホなど印象派の画家にとても大きい影響を与えたことはよく知られています。
左がゴッホ、右がモネの作品
いえ、画家だけではありません。ドビュッシーの作曲にインスピレーションを与え、楽譜の表紙の装丁に使っています。
もちろんこれは「神奈川沖波裏」のデザインです。
元の絵が良いので、デザインを借りた作品までが良いですね。
北斎が後世のアーチストの為に遺してくれたプレゼントがあります。
それが「北斎漫画」です。正しくは自分の弟子たちのために描いたものです。
現代の「画狂青年」を目指す若者にも、良い教科書なんじゃないでしょうか。
日本に、世界に壮大な遺産をありがとう!
日本はとてつもない文化国家です。
葛飾北斎展、次は北九州市で7/12から開催です。
上野の森には9/13から。