~立秋の自然~
夏の土用が明けると、暦の上では、いよいよ秋です。まだ厳しい残暑が続きますが、祇園まつりの頃と比べると時折、風が変わり、はっとさせられることがあります。
「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風のおとにぞ おどろかれぬる」(古今和歌集)と歌にもあるように、いにしえの人々は、ひそかな風のそよぎの中に秋の気配を感じ、愛でていました。この西から吹く気持ちよい涼風は、「極楽の余り風」と呼ばれ、古の都人たちは夏の盛りから敏感に感じ取られました。
荒波の人生でも、心を正し、自然に耳を澄ませば、極楽のお裾分けがいただける、ということなのかもしれません。
筆者が若い頃過ごした京都では様々な風習がありました。
六道まいり~立秋の暮らし~もその一つです。
京都では、先祖の霊を「お精霊(しょらい)さん」と呼び、お盆になると、「六道まいり」といって、六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)にお迎えにいく習わしがあります。
冥土まで響くという鐘をつき、戒名を記した卒塔婆に槙の葉で水をかけ、その槇を持ち帰ると、お精霊さんが家に帰ると信じられてきました。六道とは、仏教で、生物が生死を繰り返す六つの世界。珍皇寺が六道といわれるのは、平安時代の葬送地・鳥辺野に近かったためで、現世と冥土の境目「六道の辻」とも呼ばれました。
お精霊さんは、「五山の送り火」で、ふたたび冥土へ送られます。
古来より連綿と続くわが国の死生観がよく現れたものです。
「五山の送り火」が終われば京都は秋の気配を迎えます。
神を崇(あが)め、神に祈り、和(なごみ)を尊し、清明心を大切にしてきたわが国は「美(うま)し国」です。
本ブログにお越しいただいている皆様、残暑が厳しくなります。
熱中症等に気をつけられご自愛なされてくださいませ。
天皇彌榮(すめらぎいやさか)
聖寿万歳(せいじゅばんざい)
動画、一部の文章は京都市中を走る、京福電気鉄道(株)より引用、加筆、参考にさせていただいてます。