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Channel: くにしおもほゆ
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能へのお誘い (第13回:足がしびれる)

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皆さまは椅子の生活か、畳に座る生活か、どちらが多いでしょうか。
私はトシで座ったり立ち上がったりが苦痛で、だんだんとイス生活になりました。
 
でも学生時代の能楽部で謡の稽古では、板の間にずっと正座をしていました。
もちろん、ずっと座っていると足がしびれます。時々足の指を組み替えます。
日本人なら正座は当たり前と思う方が多いと思います。
いや正座の歴史はそう古いものではありません。
 
畳(たたみ)は立派な日本独自の家屋の素材です。室町時代には書院造りの部屋全体に畳が敷かれるようになり、茶道の普及に伴って正座も普及していきましたが、庶民の暮らしには縁のない贅沢な物です。
正座は畳、茶道、江戸時代の小笠原流の所作の普及にあわせて広まっていった座り方と言われています。
それ以前の日本の座り方を見てみましょう。
 
この絵巻の図を見てください。14世紀の貧乏絵師の家とされています。
奥さんが膝を立てて座っています。なんてお行儀が悪い!と思いますね。
でもこれは当時の一般的な座り方だったようです。
 
イメージ 1
 
イメージ 2
 
これは平家の武将のお話「清経(きよつね)」かとも思います。
左うしろの鼓と笛の囃子方は正座しています。シテは立て膝座りです。
 
イメージ 3
 
これは演目は不明ですが女性も立て膝で座ります。これが普通です。
 
 
能楽部の稽古の合い間に思わぬ話を聞きました。
「〇〇さんが、足が痺れて立てなくなって、」
 「えっ、あの(押しも押されもしない大御所の)〇〇さんが?!」
「座ったまま、両手を引っ張ってもらって退場したらしい・・」
嘘のような本当の話です。
 
 
 
 
 
能は日本が世界に誇る仮面劇です。

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