アニメの『妖怪ウオッチ』は子供たちになかなかの人気です。
私は孫と一緒に視て楽しんでいます。
ここにいろんな妖怪たちが登場します。
水木しげる氏が各地の民話を基に創作した『ゲゲゲの鬼太郎』とはまた全く別の発想です。
妖怪は元々は普通の人や動物として夫々に暮らしていました。
個々の人生(または動物の暮らし)にストリーがあり、それがあるときひょんなことから、みんな生前の生きざまを曳きずって妖怪になりました。
一番人気の妖怪ジバニャンを見てみましょう。
「あかまる」という猫が女の子のペットとして可愛がられていました。その子は可愛く、優しくて勉強もできるのですが、家庭に冷たい雰囲気があり、「あかまる」は彼女が心を開いて話すことができる大切な存在でした。
ところが一緒に散歩に出たときに、「あかまる」はトラックに撥ねられてしまいます。
そのとき、女の子が「トラックに撥ねられたくらいで死んでしまうなんて・・」
この最期の聞いた言葉が「あかまる」を地縛霊に変えました。
『妖怪ウオッチ』は大人も子供も楽しめます。
ストーリーはときに切なく、ときに残酷でもありますが、アニメのキャラが明るく作られていて、子供達には楽しいお話として伝わるように上手く構成されています。
私はすぐ泣いてしてしまいます。横の孫は「??・・」
ところでこのお話の流れは・・
そういえば能に似ています。
能は死んだ人や動物の霊が、生前の世界に心残りがあったりして現世に出てきます。
たとえば、
旅の僧が不思議な里人(前シテ)を見かけ言葉をかけます。話しているうちにだんだんと里人は心が乱れて去ってゆきます。
まもなく里人が本当の姿の幽霊(後シテ)で現れて苦しみを語るが、僧の読経を聞いて解脱して消える という感じのストーリーがとても多いのです。
目の前にある舞台は現世。幽霊は幕が上がってやってきます。
幕は現世と霊界を遮るカーテンなのです。
日本人には生と死は近い関係なのです。
能の幕。裏から棒で突き上げて開きます。
杜若(前シテ) 能楽師さんのサイトからお借りしました。
『妖怪ウオッチ』の作者が能の世界をご存知だったかどうか、私は知りません。
もしかして、知らず知らずのうちに、文化的な影響を受けていたのかもです。
『妖怪ウオッチ』を見て育つ子供たちは、無意識の影響を受けているでしょう。
それが文化というものだと私は思います。
能は日本が世界に誇る仮面劇です。