2015.5.15 19:00更新 産経west
松江城天守 国宝に
文化審議会(宮田亮平会長)は15日、江戸時代初めに築かれた松江城天守(松江市)を国宝に、現在は東京都庭園美術館として利用されている旧朝香宮邸(東京都港区)など9件の建造物を新たに重要文化財に指定するよう、下村博文文部科学相に答申した。山梨県甲州市の山村集落を重要伝統的建造物群保存地区に選定することも求めた。
近く答申通り告示され、建造物の国宝・重要文化財は2437件、保存地区は110になる。
松江城は関ケ原の合戦の後、出雲・隠岐の領主になった堀尾氏が築城。1611年に完成した天守は、2階分の長さの通し柱を多用するなど独自の特徴があり、近世城郭の最盛期を代表する建築と評価された。現存する天守の国宝指定は松本城(長野県)、犬山城(愛知県)、彦根城(滋賀県)、姫路城(兵庫県)に続き5例目。
松江城もいいですね。黒を基調にして何とも趣があります。
この城が仲間入りして、建造物の国宝・重要文化財は2437件は凄いです。
大切に管理・整備して次代の日本人にバトンタッチしなければなりません。
最近気掛かりなのは、例の〝油〟事件の多発です。
油が浸み込んでしまって変色した部分の修復には、専門家の手間と費用と時間がかかります。元通りになる保証もありません。
夜間は完全に無人だったり、事実上無防備の建造物も多いです。
防護柵と監視カメラの設置、定期・不定期の見廻り、そして文化財への犯罪に対する重罰化が急がれます。
小坪しんやさまのブログ記事
刑法では放火した対象物が何かによって幾つかに分かれているのですが、寺の本堂や神社の拝殿など、通常は人が住んでいない建物への放火は「非現住建造物等放火罪」が適用されるでしょう。農機具小屋などへの放火と同じ扱いなのです。
刑法第109条:放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
たったこれだけです。
文化財保護法には末尾のあたりに少しだけ規定があります。
第百九十五条 重要文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
この規定では国宝を含んで重要文化財に指定されている物だけが該当します。
重要文化財に指定されていない文化財を汚損したり、破壊した場合には
これでは甘過ぎませんでしょうか。何百年か前の人が心血を注いで造った傑作であろうと、多くの人の信仰の対象であろうと、最高でもこの程度の刑です。
おまけに「器物」とは国語辞書的には「入れ物」ですが、法律用語では「他人の所有物」を指すので、持ち主が警察に訴えないと犯罪にすらならない親告罪です。
貴重な文化財を今日まで伝えてくれた先人に感謝するとともに、きとんとした法整備を行ってゆくのは今の日本人の使命です。