2015.6.9 21:00更新 産経 http://www.sankei.com/life/news/150609/lif1506090032-n1.html
世界初、火星の衛星探査 JAXA試料採取し帰還 2021年度にも打ち上げ
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、火星の衛星に着陸し、砂や氷などを採取して地球に持ち帰る無人探査機を、2021年度をめどに打ち上げる計画を明らかにした。政府の宇宙政策委員会の小委員会で説明し、大筋で了承を得た。
JAXAによると、火星を回る衛星から試料を持ち帰る「サンプルリターン」計画は世界初。火星の衛星の組成を詳しく調べ、火星がどのように形成されたかの解明にもつなげたい考えだ。
JAXAは、国際協力で進むとみられる将来の火星探査の一環と位置付けることも可能とみており、開発費は300億円程度を見込んでいる。
小惑星探査機はやぶさが成功させたサンプルリターンの技術と、ピンポイント着陸を目指して開発中の月探査機SLIMの技術を組み合わせ、新しい探査機を開発する方針。探査機の大きさやエンジンの方式は今後決定する。打ち上げから3~7年かけて往復する。
これはとても良い計画だと思います。
常に言ってることですが、JAXAは予算規模でも人員規模でもNASAのほぼ1/10です。NASAと同じことは出来ませんし、NASAの成果の後追いをしてもあまり意味がありません。
NASAはそれほど巨大な機関ですが、手をつけていない研究も結構あります。
JAXAはこれまでの大ヒット成果も今後の計画も、つねに〝ニッチ〟を狙っています。手つかずのニッチの中から、少ない研究費で大きい成果が期待できるものを探しています。
「はやぶさ2」の後にさらにどんどん、小惑星探査機を飛ばしたとしても、(学者には
有意義でしょうが)、国民の支持は遠のきますね。
「はやぶさ」の技術が応用でき、しかも小惑星よりもずっと近い火星の衛星探査は大いに期待できます。
「それなら衛星じゃなく、火星本体に着陸させればいいのに」と思う方がおられるかもしれません。いいえ、火星の本体じゃなくて、衛星だから「はやぶさ」の技術が応用できるのです。
火星だと地球の引力より少し小さい引力です。ここに着陸してサンプルを抱えて飛び立つのに大きい推力が必要になります。
地球の月は衛星としては異例の超巨大児ですが、こちらは本体より遥かに小さいです。近くを通過しようとした小天体が引力に捕捉されたと考えられています。
火星の衛星の2つあるうちのどちらに行くのかなど、計画の細部も既に決まっているのではないかと思います。
現時点でJAXAのサイトには出ていません。分かり次第、また記事を書きます。