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H3ロケット…能力増・低価格の大型機 技術結集し海外勢と勝負

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産経 2015.7.27 10:12

H3ロケット…能力増・低価格の大型機 技術結集し海外勢と勝負

 2020年度に打ち上げを目指す新大型ロケット「H3」の基本構成が決まり、開発が本格的に始まる。大型衛星も搭載できる大きなパワーと低コストを両立させ、H2Aロケットの弱点を克服するのが狙いだ。海外勢が席巻する商業打ち上げ市場に日本が食い込むための切り札として期待がかかる。(草下健夫)
「顧客第一に」
 日本の大型ロケットは米国の技術導入で幕を開け、1994年にH2で純国産化を果たした。2001年に運用を開始した現行のH2Aはその改良型で、これまでの成功率は96.4%と世界最高水準を誇る。
 07年に打ち上げ業務が宇宙航空研究開発機構(JAXA)から三菱重工業に移管され、政府の衛星だけでなく民間や海外の衛星を打ち上げる事業が始まった。しかし欧州などの大型機に比べ価格が高く、実績も乏しいことが壁になり、受注は4件にとどまっている。近年は通信衛星などが大型化し、パワー不足で顧客のニーズに対応できない問題も抱えていた。
 こうした課題の克服を目指すのが後継のH3だ。開発を統括するJAXAの岡田匡史プロジェクトマネージャは「信頼性と価格の両面でトップクラスで、柔軟なサービスができる顧客第一のロケットにしたい」と意気込む。
 H2の初打ち上げから20年以上が過ぎ、ロケットの開発現場では技術の継承が課題になっている。関連産業を維持するには打ち上げ回数をもっと増やし、部品などの需要を拡大する必要もある。H3は日本のロケット開発の命運を握る存在ともいえそうだ。

国産最長の63メートル
 JAXAが今月発表した設計概要によると、H3は全長63メートルで国産ロケットでは歴代最長となる。H2Aと同じ液体水素と液体酸素を燃料とする2段式だが、さまざまな工夫を加える。
 1段エンジンは、構造が簡素で実績もあるH2Aの2段と同じ設計を採用。1基当たりの推力は3割増の150トンとし、2基または3基を搭載する。1段の側面にある固体ロケットブースターは取り付けないか、または2本か4本かを選べるようにする。
 これにより静止衛星を打ち上げる能力は、H2Aの約1.5倍の6.5トン以上に向上。衛星の大きさなど顧客の要望に応じて多様な機体構成が可能になる。
 また、H2Aは専用に開発した部品で費用がかさんだ点を反省し、可能な限り民生品を使用。ブースターは小型ロケット「イプシロン」でも利用してコストを削減する。生産ラインも効率化を図り、打ち上げ費用はブースターがないタイプで半額の50億円程度を目指す。開発費は1900億円で、JAXAはH3に愛称もつける方針だ。

発射場も刷新
 打ち上げの機会を増やすには、発射場である種子島宇宙センター(鹿児島県)の刷新も欠かせない。
 現在はロケットを起立させた状態で整備しているが、建屋を改修し、水平に置けるようにして作業負担を大幅に軽減する。こうした工夫で打ち上げ準備にかかる日数をH2Aの最短53日から、1カ月程度に短縮できる見通しだ。
 また、打ち上げ前の機体を自動的に点検するシステムも採用。大幅な省力化を実現し、現在の100~150人の作業要員を30~40人に削減する。点検の自動化で頻繁に検査する必要がなくなるため、発射台付近にある管制棟を約3キロ離れた安全な場所に移転させることが可能になる。
 次世代の大型ロケットは、海外でも開発の動きが活発だ。商業打ち上げの世界市場で大きなシェアを持つ欧州のアリアンスペース社はH3と同じ2020年に、新型機アリアン6を投入する。ロシアは近年、失敗が目立つが、主力のプロトンは価格競争力が高い。低価格のファルコン9を売り出した新興の米スペースX社は、さらに再使用型や増強型を開発中だ。
 JAXAの遠藤守副理事長は「アリアン6やスペースXの増強型に比べ、H3は幅広い衛星に柔軟に対応できる優位性がある」と話す。日本の技術を結集した次世代機で、世界の勢力図を塗り替えることができるか注目される。


産経は科学に力を入れてくれているので有難いです。読売の科学記事は常に短く、毎日に至っては科学といっても放射能だとか地球温暖化とか健康被害とかが多いです。
そういう情報が要らないとは言いませんが、社会部に任せておけばいいような内容を科学(担当)記者が執筆するまでもないでしょう。。
日本という国を見据えていま何をすべきなのか。どの技術が今後大切なのか。
例えば風力発電を誇大に吹聴した多くのメディアは完全に世論をミスリードしてしまい、各地に回らない風車が沢山できました。この責任をどのようにとってくれるのでしょうか。
各社は産経の報道姿勢を見習ってほしいものです。

さてH3ロケットがいよいよ動き出します。H2Aロケットの高度化(現在進行中)とH2Bロケットの複数のロケットを束ねる技術、イプシロンロケットの省力化技術などが融合したロケットの開発です。
大いに期待しましょう。

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