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Channel: くにしおもほゆ
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ロシアの宇宙技術は既に老化・衰退している。

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ソユーズ、太陽電池パネルの片方が開かず 飛行に影響なし
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ソユーズ宇宙船の打ち上げが成功し、同乗の宇宙飛行士と握手して笑顔を見せる油井亀美也さん(奥)(NASAテレビから)
 
油井亀美也さん(45)らが搭乗したソユーズ宇宙船は打ち上げ成功後、2枚ある太陽電池パネルのうち1枚が開かない状態になったことが分かった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、必要な電力は片方のパネルでまかなえるため、飛行への影響はないという。
 打ち上げから約6時間でISSに到着する飛行計画に支障はないとしている。原因は分かっていない。
 太陽電池パネルは船体後部の両側に付いており、開くと羽のようになる。1枚の長さは約4メートル。ソユーズ宇宙船では昨年9月の打ち上げ後にも、同様の現象が起きている。


私はロシアは好きではありませんが、現代の宇宙工学の分野を開闢したのは旧ソビエトに他ならないことは最初に言っておきます。宇宙工学の入門書にはロシア人の名前を冠した「~~の法則」とか「・・・の定理」とかいうのが少なくありません。
かつて米ソは盛んに宇宙開発競争をしていましたが、ケネディが大統領になってアポロ計画を立ち上げ、巨大な予算を注ぎこんでソ連を引き離しました。
この段階でソ連は有人月面着陸で競うことを経済力の面から諦め、雌雄が決したのです。
その後、米国は次々に画期的技術を投入して独走態勢の観になり、一方ソ連は宇宙ステーションの建設以降は軍事衛星に特化して地味ながら多数上げています。

スペースシャトルを打ち上げて全世界が注目した頃が米国にとっては一番華やかでした。アメリカ人のチャレンジ精神の塊のようなスペースシャトルでしたが、結果的には先駆性を補う技術が不完全だった為に従来型ロケットより遥かに高コストでしかも二度もの大事故を起こしてしまい、従来型ロケットの開発をしなければならなくなりました。

宇宙ステーションへの往復手段が狭いソユーズしかなくなり、日本も米国も宇宙飛行士がロシア語を学習して尚且つ高い搭乗料金を支払う羽目になっています。
帰還時の大気圏突入の際には、座席のすぐ近くの窓の縁が灼熱して熔けようとするのが見えて大迫力だそうです。
つまり必要限度ぎりぎりに設計された昔のままでずっとやってきているのです。
このあたりが米国のやりかたと対照的なのです。
昔から受け継いでいる技術をそのまま使うことで、安全・確実で低コストと見られていました。

ところが、安全・確実性が近年ほころんでおり、失敗事例が増えています。
ソユーズのトラブルのために油井さんの出発も当初の予定より2か月遅れています。しかも太陽電池パネルの片側が開かず、昨年9月と同様のトラブルとは。
徹底した原因究明と改善をせずに打ち上げたということでしょう。もう片方のパネルも開かない可能性もあったということですね。

ロシアはハイテクに挑戦せずローテクのままで、更に困ったことに昔からの技術者から技術がうまく伝承されていないのではと思われます。
宇宙開発をするような巨大組織の職場風土は一朝一夕には変りません。
ロシアに往復を依存しなければならない現状を早く脱出したいものです。

技術は持っているだけでは劣化・衰退してゆきます。最初はそれと分からぬうちに進み、徐々に表面に表れてきます。
飛行機や鉄道の事故でも労働災害でもそうですが、1つの重大事故が起こる背後には29の軽微な事故があり、更にその背景には300の事故に至らないヒヤリとした件・ハッとした件があると言われています。(ハインリッヒの法則)

ロシアの現状を日本は他山の石とすることなく、やっていってほしいです。
H2Aロケットは既に長年使われていて、若い技術者は大型ロケットの開発経験がないままです。H2Aを開発した技術者がJAXAに残っているうちに、開発のノウハウの伝承が行なわれなければなりません。これがH3ロケットを開発するひとつの理由でもあります。
技術は人間から人間に伝承するものと言われてます。
そして常に新しい技術の取り込みを模索し、日頃の小さな失敗を隠さず公言できる職場風土であってほしいです。


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