金星に向け軌道修正成功 探査機あかつき
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、金星に向かう探査機「あかつき」が、小型エンジンを噴射した3度の軌道修正にいずれも成功し、目的の軌道に達したと発表した。
あかつきは29日前後に太陽に最接近する。老朽化した機体の温度が上昇する「試練」(JAXA担当者)が待ち構えており、乗り越えることができれば12月7日に金星を回る軌道投入に再挑戦する。
JAXAによると、あかつきは主エンジンが壊れており、姿勢制御用の小型エンジンを用いて軌道修正した。エンジンは、7月17、24、31日に計7分半噴射した。軌道修正が成功しなければ、金星に衝突する可能性があった。
あかつきは平成22年にH2Aロケットで打ち上げられ、当初は同年に金星の大気などを観測する予定だった。太陽の紫外線などを浴びて劣化が進んでいる。
2010年12月のあの日のことは忘れもしません。金星の有裏側に廻り込んだと思われた「あかつき」が表に周って出て来なかった。周回軌道投入失敗の報にはとてもガッカリしました。
「あかつき」は金星の大気や火山活動を調査する探査機で、金星を通り越してしまった後に太陽の引力によって、金星や地球のように太陽の周りを公転しています。
このとき、たまたま「はやぶさ」が小惑星イトカワから何度もトラブルに遭って満身創痍になりながら奇跡的に還ってきて日本中に感動を呼んだ直後です。
「絶対に諦めるな!」「ど根性で!」という声が殺到したようです。
探査機に「ど根性」を期待するというのは、ちょっと違うと思います。
「ど根性」を期待するような状況にならないように、予算と人員と期間を与えるのが正しい道筋です。
そう言う私もこんな擬人化は嫌いじゃありませんが。(笑)
これは月探査機「かぐや」が多数の観測器具を背負って頑張る様子の擬人化です。(無断拝借です)
いい作品ですね。
これがNASAだったとしたら、さっさと次の計画に移ったでしょう。
しかし残念なことに何度も言いますが、JAXAは予算規模でも人員規模でもNASAのほぼ1/10です。その状況で計画を廃棄したり、直ちに「あかつき2」を造る余裕はありません。
「ど根性」ではなくて貧乏組織のJAXAゆえ、あらゆる可能性が検討されました。
失敗の原因を検証するためにて臨時の予算を組んで実験が行われた結果、軌道投入用のスラスタ(小型エンジンのこと)の弁にトラブルが発生して酸化剤と燃料の混合に支障をきたして想定外の高温になってしまったとの結論に至りました。
金星の軌道は地球よりも遥かに太陽の照射が強いです。
繊細な器具に光が直射して高温にならないように、「あかつき」の姿勢を巧みにコントロールしてきました。
「あかつき」には軌道投入用とこれよりずっと小さい姿勢制御用の2種類のスラスタ(小型ロケット)があります。
5年前にトラブルがあったのは軌道投入用で、残余燃料のことも踏まえて設計の1/9の能力しか残ってないと計算されています。
これではとても金星周回軌道に投入することはできません。
そこで姿勢制御用の小さいのまで使って挑銭します。
今回軌道修正に使ったのも、この姿勢制御用のものを職人的なワザで使いました。
勝算はと言えば、はっきり言って私は多分駄目だと思っています。
やれることは全部やって、失敗なら失敗で処理のノウハウを残してほしいです。
担当チームの方々は辛くて苦しい日々だとお察しします。
この「あかつき」の打ち上げの際、H2Aロケットの余剰能力を使って、宇宙ヨット「イカロス」が相乗りで打ち上げられました。まったく初めての試みで、宇宙で帆が開くことが実証出来ればとりあえず成功、いろんな動きを指示してそのデータが得られればフル・サスセスだったのですが、それどころかおまけの実験まで完璧にこなしてエクストラ・サクセス。さらに今でも動いています。
だからこそ尚つらい。
宇宙では誰も撮ってくれないので、
「イカロスは」ミニカメラを放出して
自分撮りをしてます。
この「あかつき」は12月に金星軌道投入の再チャレンジです。
この担当チームの方々の神がかり的な職人ワザで成功すれば、私はこのブログで大騒ぎします。
駄目だったら知らん顔してます。