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Channel: くにしおもほゆ
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[愛国百人一首]  韓国(からくに)の城の上に立ちて大葉子は頒巾振らすも日本へ向きて

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げげっ!韓国だって!愛国の歌集なのに・・・
と、私はひとりで早合点していました。
これ凄い歌なんです。

韓国(からくに)の城(き)の上(へ)に立ちて大葉子(おほはこ)は頒巾(ひれ)振らすも日本(やまと)へ向きて

「愛国百人一首」については、このシリーズの第一回の簡単な解説をご覧ください。
私はその第一回目に良く知られた「おほきみは、神にしませば・・」を載せました。
でも川田順氏監修の愛国百人一首では、この「韓国の城の上に立ちて」が最初の歌です。

この本の解説を元にご紹介しましょう。
欽明天皇の時代、新羅の真興王が任那に攻めこんだので、日本は大将軍紀男麻呂(きのおまろ)を遣して救援したが、回復出来なかった。
我が将軍調吉士伊企儺(つきのしいきな)は捕えられ、「新羅王よ、おれの尻の肉を喰らえ!」と叫んで殺された。
その妻の大葉子も虜になったが、同じく毅然として屈せず、「韓国の城の上に立ちて」と高く歌い上げた。
敵兵に囲まれて眼前で夫を殺されながら、故国日本に向かって頒巾を振ったのは、まことに日本婦人たるに恥じない。
頒巾(ひれ)というのは、古代の婦人が頸から肩にかけて、左右に前に垂らした白い布だそうです。

なお、「振らす」の部分の「す」を尊敬の助動詞だという解釈もあるそうで、そうだとすると、歌の意味もがらりと解釈が変ってしまいます。「振っていらっしゃる」になって、その様子を見ていた日本の兵士の作った歌だということになる。
でも私はそうではないと思います。古代では敬語はまだ確立していないそうです。
それに兵士から見たら、大葉子が日本のほうに向いていることなど気付かず「この場に及んで何やってんだろう」と思うのが普通ではないでしょうか。
そうではなくて、大葉子自身が「わたし、大葉子は」と堂々と歌って頒巾を振ったと思います。




[愛国百人一首]の過去記事




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