油井亀美也(ゆいきみや)宇宙飛行士のやってくれた観察で、これは凄い成果です。
宇宙で骨が弱くなることはよく知られていましたが、そのメカニズムは不明でした。
「無重力で体を支える必要がないから当然だろう」と言ってしまえば、それまでです。
科学者は幼い子供のように「なぜ、どのように」の疑問をいつも持っています。
そしてその謎を解きたいという気持ちにかられます。
今回は東京工業大学大学院生命理工学研究科の工藤明教授らの実験計画にそって、油井飛行士が正確に実施し、謎解きに成功したものです。
骨は無機的なリン酸カルシウムのかたまりのようでいて、本当はそうではありません。
常に骨芽(こつが)細胞が骨を作り、逆に破骨(はこつ)細胞が骨を壊していてバランスがとれているのです。
宇宙で一体何が起きているかを知る、これが今回の実験の目的です。
宇宙でメダカを二か月飼育して観察しました。
なんと、破骨細胞の核が多くなってどんどん骨を破壊し始めるという事実でした。
次に起こる疑問は「なぜ無重力だと破骨細胞の核が増えて活動が増すのか」ですね。既にその考察も始まっています。
詳しい内容についてはこちらをどうぞ。(JAXA プレスリリース)
これは科学者の自己満足だけで終わるものではありません。
究極の目標は、現在の骨粗鬆症の薬よりも画期的に効果のある薬品の開発です。
「きぼう」は優れた実験室ですね。日本の宝です。