安保法制成立で自民党に漂う改憲論議先送りムード ならば自主憲法制定の党是を撤回せよ!
自民党は11月15日、還暦を迎えた。東西冷戦下で「自主憲法制定」を高らかに掲げて結党したが、この60年間、憲法は一文字も変えられていない。29日の記念式典では立党の精神を改めて確認するが、党内ではあろうことか、「しばらく改憲は必要ない」との声が漏れている。安全保障関連法をめぐり、先の通常国会で野党と繰り広げた激闘の疲れもあるのだろうが、改憲議論を先送りするのなら、結党以来の党是を撤回するのが筋ではないか。
「自主独立の完成」「現行憲法の自主的改正」
自民党は昭和30年11月15日の結党に際し、党の「綱領」と「政綱」に、いわゆる「自主憲法制定」を掲げた。27年4月28日に独立を回復したばかりの日本では、占領下で実施された諸制度の見直しが急務だったからだ。
その後、池田勇人、佐藤栄作両元首相ら経済復興を優先させた政権では憲法改正は後回しになったが、その精神は生き続けている。これまで綱領を数回見直してきたが、野党時代の平成22年に谷垣禎一総裁が中心になってまとめた綱領でも、「日本らしい日本の姿を示し、世界に貢献できる新憲法の制定を目指す」と謳っている。
その谷垣氏は今年10月、幹事長として党の憲法改正推進本部長に森英介元法相を指名した。森氏はこれまで改憲の議論にほとんど参加したことがないが、前本部長の船田元氏との引き継ぎの際には、「野党と合意できる条項から議論を進めていく」と慎重ながら、確実に改憲作業を進める意向を示した。
こうした流れだけを追えば、憲法改正に向けた自民党の作業は着実に進行しているように見える。だが、足元ではじわじわと消極論が広がっているのだ。
岸田文雄外相は10月5日、山梨県富士吉田市で開いた岸田派(宏池会)研修会で「当面、9条の改正は考えない」と主張した。集団的自衛権の行使を一部容認する安保関連法の成立で、9条改正の必要性は当面薄れたとの認識のようだが、自衛権や自衛隊の存在を「違憲」とも解釈できる9条の改正こそが、「自主憲法制定」の中心テーマだ。その改正を「考えない」ということは、党是の放棄といっていい。
そうした消極論は、ハト派の代表格とされる宏池会だけにわき上がっているわけではない。安倍晋三首相に近いとされる閣僚経験者さえ、「安保関連法が制定されたことで、今後20年、30年は憲法を改正する必要はない」と周囲に漏らしているほどだ。
改憲の先送り論の背景には、来年夏の「衆参ダブル選」が永田町でささやかれていることがある。
9条改正が宿願の安倍首相は安保関連法を成立させた今、次なる目標の改憲に向け、発議に必要な衆参両院3分の2超の議席獲得を狙っている。野党第一党の民主党が「解党論」でごたつき、維新の党が内部分裂した中でダブル選を断行すれば、衆参両院で議席を拡大させることができる。安倍首相はそれをもくろんでいるのではないか―というものだ。
この噂に焦っているのは野党議員だけではない。昨年末に選挙の洗礼を受けたばかりの自民党衆院議員からも「しばらく選挙は勘弁してほしい…」と不安の声が漏れる。憲法改正の「不要論」は、安倍首相への牽制でもあるのだ。
しかし、憲法改正がいまだ実現していないとはいえ、自民党が改憲を目指す政党だからこそ、他の経済政策や社会保障政策などと併せて支持している国民は多い。もし、改憲論議を先送りするのなら、それは有権者、支持者への裏切りともなる。
(政治部 力武崇樹)
私は池田総理を心から尊敬しています。所得倍増計画を打ち上げて、見事にこれを実現させました。確かに池田総理は経済に徹頭徹尾頑張って、また東南アジア諸国への賠償問題なども次々決着させました。当時の日本の舵取りとしては間違っていません。
当時の池田総理の池田派の流れを汲む宏池会はいま岸田文雄がドンです。
安倍総理は、3年前の政権復帰の際に党内の全勢力を適所に配置して挙党体制を構築しました。リベラルの岸田は外務大臣に起用されましたが、僅か3年前は今よりも日本の発言権は低く、岸田を据えたことは、これも適切な人事だと思います。
その岸田派の派閥研修会が10月5日にあって、岸田は挨拶で「当面、憲法9条自体は改正することを考えない。これが私たちの立場ではないかと思っている。」と明言しました。 その時の怒りの拙記事です。
これが「保守本流」だとは私は思わないし、敢えて主張するなら、そんな勢力は要りません。
安倍総理はこの発言を伝え聞いて激怒し、岸田は飛んで謝りに行ったとされています。しかし安倍総理の怒りは解けず、内閣改造によって岸田派からの入閣は5人から岸田本人の1人に激減しました。これは安倍総理が岸田派潰しに乗り出した証です。ゼロではなくて、わざとドン1人を残したことで派閥内の不満が高まり、自壊の動きにつながるでしょう。
自民党のことは派閥のことを見ずには語れません。
現在の派閥の勢力は、細田派(96、安倍総理も一応含まれる)、額賀派(50)、岸田派(42)、麻生派(36)、二階派(34)、石破派(20)、石原派(14)で、現在の資金量は、細田派>岸田派>二階派>その他 です。
夏の選挙が終われば、新人は細田派など、大派閥を自然と選びますから、安倍総理の影響力はさらに増します。
いよいよ長年待った憲法改正のステージに入ってゆきます。
岸田派はいくら血統の良さのようなものを誇示しても、党是を忘れては党内からも国民からも支持を失います。
党是を軽く見て今さえ良ければというのは、他には誰でしょう。あの御仁、この御仁も言いそうですね。
選挙の前にはっきりさせてください。