産経の目立たない記事に、こんな記述がありました。
伊勢志摩サミットの首脳宣言は、テロ組織に拘束された人質の身代金を支払わない決意を表明した。トルドー氏が議論で強く主張したものとみられ、これについて「市民を危険に陥れるもので、テロ組織の重要な資金源になっている」と非難した。
“イケメン”の容姿のわりに意外と硬骨漢なのですね。
この記事を作る作業中にカナダの発言の背景かなと思う事件を見つけました。
フィリピンのリゾートホテルでカナダ人2人を含む4人が誘拐され、一人あたり約7億円の身代金が要求されたが支払わず、一人の切断頭部が発見されています。
ソマリア沖の海賊だって、はじめはオンボロのボートでやって来て蛮刀で脅したらしいです。それが誘拐で儲けて高速艇を手に入れ、今や普通にロケット砲や機関銃を持っていますし、中にはもっと凄い機関砲まで備えているのがあるらしい。
海自を含めて各国の海軍で守っていますが、蛮人が一旦武器を手に入れ、おいしい思いをしたら、警備が手薄になればまた同じことをやるでしょう。
今回、共同声明の形でG7参加国に順守義務が生じました。
これは世界標準のルールとして、G7の外の国にも影響するでしょう。
かつて内閣官房の機密費が話題になったときに、人質解放のための費用が使途の例として語られていました。
ダッカ日航機ハイジャック事件では当時の福田赳夫総理が「人命は地球より重い」と述べて、身代金を支払い、超法規的処置で赤軍メンバーを引き渡しています。
さて実際に外国で誘拐が発生すると、本人はもちろん家族も大変な辛い思いをします。なんとしても助けたい思いですが、交渉に乗ってしまうことは更に次の誘拐につながります。
イスラエルは周囲を敵に囲まれて、誘拐が絶えませんが、交渉を一切していません。苦しみぬいた末にたどり着いた国民的合意なのでしょう。
日本政府も今後の事件の際には、断腸の思いで〝共同声明の趣旨に沿って取引には応じない”と明言することになるでしょう。
テロを含め卑劣な誘拐に対しては、犯人側の要求に応じないばかりでなく、グループの根絶を目指してほしいです。
かつてペルーの日本大使公邸で人質をとってを占拠した左翼の武装過激集団センデロ・ルミノソをフジモリ大統領が急襲して解放してくれたたように。