理瀬さまのブログ『◆安倍晋三さん「美しい国づくり」・創生「日本」・救国ネット支持◆』より転載させて頂きました。
「見えざる矢」の行方
(以下、転載記事)
「見えざる矢」の行方 ![ケータイ投稿記事]()
+--【こんばんは安倍晋三です。】--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+
本日で丁度昨年の総選挙、「日本を取り戻す闘い」から、一年が経ちました。
ご支援いただきました皆様へあらためて御礼申し上げます。
皆様から政権をお預かりして一年、日本の景気回復に明るい兆しが見えてまいりました。
今日発表された日本銀行の所謂「日銀短観」12月の調査によると、大企業、製造業の業況判断は4半期連続で改善いたしました。
リーマンショック前の2007年12月以来の水準です。
そして嬉しいことに中小企業の業況判断は全てがプラスに転じました。
非製造業の業況判断がプラスに転化したのは1992年以来21年10か月ぶりの出来事です。
間違いなく私達の「三本の矢の政策」によって経済は良くなっています。
本日官邸にやってこられた5人の
中小・小規模企業の経営者の方々は「いい人材を確保し従業員のモチベーションを維持するために、また頑張ってくれた従業員達に報いるために、我々は2%・・3%と賃上げを必ずしていくんだ!」と高らかに宣言してくれました。
この「景気回復の波」を中小・小規模企業、そして全国津々浦々に広げていくのが私の仕事です。
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+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+(2013.12.16[Mon] 21:10)
▼安倍晋三事務所携帯版HP
http://www.s-abe.jp/
*メルマガの配信元です。
■第二次安倍政権はこれまで、アベノミクスによる経済再生を最優先課題として重点化してきましたが、それは経済再生自体が確かに喫緊であったためであるのと同時に、憲法改正などの保守政策を世論の了解をつけて進めるための中長期的な政権運営プランでもあると言えます。
それは前記事で指摘したように年度明けには安倍さんの今の総裁任期も半分を終えるというなかにおいて、15年9月の次期総裁選での安倍さんの再選戦略とも関連するでしょう。
それについて、FNNが週末(12.14、15)に行った世論調査で、
◎この1年間の安倍内閣の実績を評価するかを尋ねたところ、「評価する」が6割に達し(60.4%)、「評価しない」は3割台だった(34.7%)
◎誰が今、首相にふさわしいかを聞いたところ、「安倍首相」との回答が6割を超え(64.9%)、「別の政治家」とした人は、1割未満だった(9.7%)
というのは、大いに意を強くできるものだったと言ってよいかもしれません。
同じ世論調査では内閣支持率自体は下落して47.4%、不支持率は上昇して38.7%という数値が現れていますが、その一方で「この1年間の安倍内閣の実績を評価するか」と「誰が今、首相にふさわしいか」の質問で上記のような結果となっているのは、安倍さんの党内求心力を支えるものとなると言えるでしょう。
前記事では、安倍さんの二期目の総裁任期が満了、首相を退任することになる18年9月の「ポスト安倍」政局から逆算した見通しを15年9月の総裁再選戦略にフィードバックしたい立場から(つまり、近い未来のためにむしろ遠い未来を考える)、石破幹事長と茂木経産相をその有力候補に推定し、互いに好対照な政治キャリアを持つ両者の競争は、党操縦で主導権を握る上での一つの要諦たるだろうと指摘しましたが、防衛相経験者で安全保障や軍事に通じた石破さんと、経産相や金融担当相という経済閣僚を歴任している茂木さんが台頭していくことは、本文にあるような経済再生の成功を保守政策推進の原動力にしようとしてそれらを重視する第二次安倍政権において必然的だと言えるかもしれません。
また、保守派であると同時に旧通産省出身でTPP推進などでアベノミクスに欠かせない存在となっている西村内閣府副大臣が、そういう第二次安倍政権下で保守派の次世代リーダーとして浮上していくのも必至でしょう。
■11月16日の記事では、第一の矢「金融緩和」と第二の矢「財政出動」を、根幹たる第三の矢「成長戦略」に備えるデフレ対策=対症療法とするアベノミクスについて、昭和初期のデフレ不況(昭和恐慌)に時局匡救事業などの積極財政をもって対処した高橋是清蔵相による高橋財政との共通点を指摘しましたが、その時、その本質は金融緩和および財政出動や積極財政という「景気刺激」にあるのではなく、むしろ、その一方で確かに意識されていた「財政規律」という観点にこそあることが明らかになるでしょう。
すなわち、東大大学院の岡崎哲二教授の指摘に拠れば高橋が「財政規律を維持するために公債収入を前年度より減額する「公債漸減」方針を採」(『朝日新聞』13.10.29朝刊)ったことと、安倍さんが経済成長と財政再建の両立を目指して8%への消費増税を決断したことは、日本経済史上でも高橋財政とアベノミクスのそれらしかない体系的かつ本格的な二大経済政策の注目すべき真髄であると理解したいと思います。
政府は来年度予算案について「借金のために新たに発行する国債の額を今年度(42.9兆円)より減らす方針」(『朝日新聞』13.11.22朝刊)を既に11月下旬に固めていますが、それはまさに「公債収入を前年度より減額」しようとする公債漸減方針に通じるものにほかならないでしょう。
第一~三次小泉政権と第一次安倍政権による構造改革の成果が現れた07年度プライマリーバランスがマイナス6兆円まで圧縮改善されたことは、小泉元首相と安倍さん、中川元幹事長、竹中元総務相や大田元経済財政担当相の治績ですが、それが端的なように、安倍さんは元来財政規律や財政健全化への意識を持ち合わせていると言えるのであり、第一、第二の矢によって財政を悪化させる側面を持つアベノミクスがそういう安倍さんの手によるものである以上、それをフォローするための消費増税はアベノミクスに本質的にビルトインされていた第四の矢もしくは「見えざる矢」であったとしてよかったかもしれません。
また、そのようにアベノミクスが消費増税を本来的に包含していることには、日銀の黒田総裁が「いったん国債の信認がなくなれば、いまやっている日銀の買い入れは意味がなくなる。そうなれば2%の物価上昇目標の達成もデフレ脱却もできない」(『朝日新聞』13.9.25朝刊)と述べたように、第三の矢「成長戦略」の一環として重視されている海外の対日投資呼び込み(「Buy my Abenomics」)の前提的環境整備が財政再建であるという、国際感覚に立脚した考えも密接に関連することも明らかでしょう。
アベノミクスが金融緩和+財政出動(第一、第二の矢)と成長戦略(第三の矢)に加えて財政再建(第四の矢あるいは見えざる矢)、つまり経済政策一般の三大類型から構成されていることは、自民党が解散戦略と総裁選対応に揺れていた昨12年7~9月の党内動向とも関連したものであると見ることができるかもしれません。
すなわち昨年7月に二階元総務会長が国土強靱化計画を発表したのは財政出動、8月に当時総裁だった谷垣法相が「近いうち解散」の約束と引き替えに消費増税法案への賛成を決めたのは財政再建にそれぞれ該当し、また9月に安倍さんが「新経済成長戦略勉強会」を勢力基盤の一つとして総裁に復帰したことはまさに成長戦略を象徴するものだったのであり、それらの党内議論の積み重ねが、現在、アベノミクスが「三本の矢」+「見えざる矢」によって全方位的になっていることの背景であるのでしょう。
第二次安倍政権発足からまもない頃、ある経済官庁幹部が政権の経済政策を「無色」と言い表したことがあったといいますが、それはさしずめ、アベノミクスが赤、緑、青つまりRGBの三色光を合成すると白になるのだという「光の三原色」の原理にも似て、経済政策の三大類型を総動員することの予言であったということになるでしょうか。
■安倍さんは財務省の主張でもある消費増税を決断する一方、前記事でも紹介したように、9日夜に菅官房長官やセブン&アイHDの鈴木会長などと会食した際に「「(日本の)財政は…財務省が言うほど悪くない」との認識を示」(時事通信、13.12.9-22:05)していますが、そこには政権と財務省は財政再建という目標を共有しつつも、しかし微妙な距離感もあることが反映されているのでしょう。
それに関連しては、首相経験者で重量級閣僚の麻生副総理兼財務相や首相側近の古川財務副大臣の起用が、安倍さんが財務省への睨みを強めようとしたものであろうことや、同じく重量級閣僚の甘利経済再生担当相が例えば来春の税率引き上げ時の景気対策の規模についてなどで財務省を牽制する立場をとったことを指摘できますが、では安倍さんや菅さんなどと財務省の距離感はどのようなものであるでしょうか。
それについて示唆的なのはおそらく民主党政権であると考えられ、すなわち彼らの目標の一つであった「政治主導」が今の生活の党の小沢代表の剛腕によって曲がりなりにも最も達成された鳩山内閣期には財務省の影響力は限定的で消費増税は否定され(その背後事情は、小沢氏一流の選挙至上主義に基づいてバラマキによる財政悪化が頓着されなかったことでしょう)、逆に、歴代財務相経験者でもある菅元首相と野田最高顧問の政権で消費増税が具体的な課題となったのは、その小沢氏が失脚した間隙を財務官僚が突いたものだったとすれば、政権と財務省の距離は近年では鳩山内閣期に最も離れ、菅、野田両内閣期に最も接近したと理解できるのでしょう。
その上で、消費増税を決定しつつも財務省とは同床異夢の部分のある今の第二次安倍政権が、それらの中間に位置取れることも浮かび上がってくるでしょう。
税制改正で焦点となった軽減税率の扱いで、党税調会長で旧大蔵省出身の野田元自治相が消極的な一方、公明党税調会長の斉藤幹事長代行が積極的で自公の調整が難航した際、安倍さんは党税調に公明党への配慮を指示していますが、これは安倍さんと財務省の間に、消費増税に対する温度差があることを物語っていると言えます。
なお、野田さんが語るように軽減税率を「10%時に導入する」とされたのは「(10%に)上げる時と上げた後と両方含まれるとの見方がある」ものであり(時事通信、13.12.15-11:54)、公明党が前者、財務省が後者の立場ということになりますが、それらはいずれにしても消費税率を15年10月に8%から更に引き上げて10%とすることが前提にされた議論であり、小さな政府論者で元来は消費増税に慎重な安倍さんがそもそも10%を見送れば、税制を巡る官邸、自民党および党税調、公明党、財務省の関係性が複雑に変化することもあるかもしれません。
党税調や財務省は10%見送りに反対するかと思われますが、翌16年7月には参院選あるいは衆参同日選が行われるという政治日程的に、自民党の大勢はそれを求めることが例えば考えられるでしょうか。
また、既述のように15年9月には次期総裁選が行われるため、翌10月1日の消費税率の再引き上げの扱いはその際の大きな焦点となるに違いないでしょう。
そしてその時、安倍さんや麻生さん、菅さんなどが10%見送りを総裁再選戦略の要諦に据えることは十分考えられると言ってよいかもしれません。
今のところ、総裁二期目に保守政策を推進するために世論の支持を意識して、安倍さんは10%を見送るのではないかとも思われますが、そうだとすれば、総裁再選戦略と連関していくはずの10%への消費増税が具体的課題となってくるのにつれて、財務省との関係が緊迫していくことはあり得るのでしょう。
なお、安倍さんと政策観を共有して財務省に代わって政権内で存在感を持っている経産省は、例えば所管する自動車業界が関わる軽自動車増税について慎重姿勢を見せたことがありますが(時事通信、13.10.30-22:28)、仮に安倍さんが10%を見送ろうとする場合、経産省はそれを後援することになるのかもしれません。
それらのような展開も、安倍さんの「「景気回復の波」を…全国津々浦々に広げていくのが私の仕事です」という意気込みを今後の政治日程に照らせば、考えられるでしょうか。
(R)
本日で丁度昨年の総選挙、「日本を取り戻す闘い」から、一年が経ちました。
ご支援いただきました皆様へあらためて御礼申し上げます。
皆様から政権をお預かりして一年、日本の景気回復に明るい兆しが見えてまいりました。
今日発表された日本銀行の所謂「日銀短観」12月の調査によると、大企業、製造業の業況判断は4半期連続で改善いたしました。
リーマンショック前の2007年12月以来の水準です。
そして嬉しいことに中小企業の業況判断は全てがプラスに転じました。
非製造業の業況判断がプラスに転化したのは1992年以来21年10か月ぶりの出来事です。
間違いなく私達の「三本の矢の政策」によって経済は良くなっています。
本日官邸にやってこられた5人の
中小・小規模企業の経営者の方々は「いい人材を確保し従業員のモチベーションを維持するために、また頑張ってくれた従業員達に報いるために、我々は2%・・3%と賃上げを必ずしていくんだ!」と高らかに宣言してくれました。
この「景気回復の波」を中小・小規模企業、そして全国津々浦々に広げていくのが私の仕事です。
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*メルマガの配信元です。
■第二次安倍政権はこれまで、アベノミクスによる経済再生を最優先課題として重点化してきましたが、それは経済再生自体が確かに喫緊であったためであるのと同時に、憲法改正などの保守政策を世論の了解をつけて進めるための中長期的な政権運営プランでもあると言えます。
それは前記事で指摘したように年度明けには安倍さんの今の総裁任期も半分を終えるというなかにおいて、15年9月の次期総裁選での安倍さんの再選戦略とも関連するでしょう。
それについて、FNNが週末(12.14、15)に行った世論調査で、
◎この1年間の安倍内閣の実績を評価するかを尋ねたところ、「評価する」が6割に達し(60.4%)、「評価しない」は3割台だった(34.7%)
◎誰が今、首相にふさわしいかを聞いたところ、「安倍首相」との回答が6割を超え(64.9%)、「別の政治家」とした人は、1割未満だった(9.7%)
というのは、大いに意を強くできるものだったと言ってよいかもしれません。
同じ世論調査では内閣支持率自体は下落して47.4%、不支持率は上昇して38.7%という数値が現れていますが、その一方で「この1年間の安倍内閣の実績を評価するか」と「誰が今、首相にふさわしいか」の質問で上記のような結果となっているのは、安倍さんの党内求心力を支えるものとなると言えるでしょう。
前記事では、安倍さんの二期目の総裁任期が満了、首相を退任することになる18年9月の「ポスト安倍」政局から逆算した見通しを15年9月の総裁再選戦略にフィードバックしたい立場から(つまり、近い未来のためにむしろ遠い未来を考える)、石破幹事長と茂木経産相をその有力候補に推定し、互いに好対照な政治キャリアを持つ両者の競争は、党操縦で主導権を握る上での一つの要諦たるだろうと指摘しましたが、防衛相経験者で安全保障や軍事に通じた石破さんと、経産相や金融担当相という経済閣僚を歴任している茂木さんが台頭していくことは、本文にあるような経済再生の成功を保守政策推進の原動力にしようとしてそれらを重視する第二次安倍政権において必然的だと言えるかもしれません。
また、保守派であると同時に旧通産省出身でTPP推進などでアベノミクスに欠かせない存在となっている西村内閣府副大臣が、そういう第二次安倍政権下で保守派の次世代リーダーとして浮上していくのも必至でしょう。
■11月16日の記事では、第一の矢「金融緩和」と第二の矢「財政出動」を、根幹たる第三の矢「成長戦略」に備えるデフレ対策=対症療法とするアベノミクスについて、昭和初期のデフレ不況(昭和恐慌)に時局匡救事業などの積極財政をもって対処した高橋是清蔵相による高橋財政との共通点を指摘しましたが、その時、その本質は金融緩和および財政出動や積極財政という「景気刺激」にあるのではなく、むしろ、その一方で確かに意識されていた「財政規律」という観点にこそあることが明らかになるでしょう。
すなわち、東大大学院の岡崎哲二教授の指摘に拠れば高橋が「財政規律を維持するために公債収入を前年度より減額する「公債漸減」方針を採」(『朝日新聞』13.10.29朝刊)ったことと、安倍さんが経済成長と財政再建の両立を目指して8%への消費増税を決断したことは、日本経済史上でも高橋財政とアベノミクスのそれらしかない体系的かつ本格的な二大経済政策の注目すべき真髄であると理解したいと思います。
政府は来年度予算案について「借金のために新たに発行する国債の額を今年度(42.9兆円)より減らす方針」(『朝日新聞』13.11.22朝刊)を既に11月下旬に固めていますが、それはまさに「公債収入を前年度より減額」しようとする公債漸減方針に通じるものにほかならないでしょう。
第一~三次小泉政権と第一次安倍政権による構造改革の成果が現れた07年度プライマリーバランスがマイナス6兆円まで圧縮改善されたことは、小泉元首相と安倍さん、中川元幹事長、竹中元総務相や大田元経済財政担当相の治績ですが、それが端的なように、安倍さんは元来財政規律や財政健全化への意識を持ち合わせていると言えるのであり、第一、第二の矢によって財政を悪化させる側面を持つアベノミクスがそういう安倍さんの手によるものである以上、それをフォローするための消費増税はアベノミクスに本質的にビルトインされていた第四の矢もしくは「見えざる矢」であったとしてよかったかもしれません。
また、そのようにアベノミクスが消費増税を本来的に包含していることには、日銀の黒田総裁が「いったん国債の信認がなくなれば、いまやっている日銀の買い入れは意味がなくなる。そうなれば2%の物価上昇目標の達成もデフレ脱却もできない」(『朝日新聞』13.9.25朝刊)と述べたように、第三の矢「成長戦略」の一環として重視されている海外の対日投資呼び込み(「Buy my Abenomics」)の前提的環境整備が財政再建であるという、国際感覚に立脚した考えも密接に関連することも明らかでしょう。
アベノミクスが金融緩和+財政出動(第一、第二の矢)と成長戦略(第三の矢)に加えて財政再建(第四の矢あるいは見えざる矢)、つまり経済政策一般の三大類型から構成されていることは、自民党が解散戦略と総裁選対応に揺れていた昨12年7~9月の党内動向とも関連したものであると見ることができるかもしれません。
すなわち昨年7月に二階元総務会長が国土強靱化計画を発表したのは財政出動、8月に当時総裁だった谷垣法相が「近いうち解散」の約束と引き替えに消費増税法案への賛成を決めたのは財政再建にそれぞれ該当し、また9月に安倍さんが「新経済成長戦略勉強会」を勢力基盤の一つとして総裁に復帰したことはまさに成長戦略を象徴するものだったのであり、それらの党内議論の積み重ねが、現在、アベノミクスが「三本の矢」+「見えざる矢」によって全方位的になっていることの背景であるのでしょう。
第二次安倍政権発足からまもない頃、ある経済官庁幹部が政権の経済政策を「無色」と言い表したことがあったといいますが、それはさしずめ、アベノミクスが赤、緑、青つまりRGBの三色光を合成すると白になるのだという「光の三原色」の原理にも似て、経済政策の三大類型を総動員することの予言であったということになるでしょうか。
■安倍さんは財務省の主張でもある消費増税を決断する一方、前記事でも紹介したように、9日夜に菅官房長官やセブン&アイHDの鈴木会長などと会食した際に「「(日本の)財政は…財務省が言うほど悪くない」との認識を示」(時事通信、13.12.9-22:05)していますが、そこには政権と財務省は財政再建という目標を共有しつつも、しかし微妙な距離感もあることが反映されているのでしょう。
それに関連しては、首相経験者で重量級閣僚の麻生副総理兼財務相や首相側近の古川財務副大臣の起用が、安倍さんが財務省への睨みを強めようとしたものであろうことや、同じく重量級閣僚の甘利経済再生担当相が例えば来春の税率引き上げ時の景気対策の規模についてなどで財務省を牽制する立場をとったことを指摘できますが、では安倍さんや菅さんなどと財務省の距離感はどのようなものであるでしょうか。
それについて示唆的なのはおそらく民主党政権であると考えられ、すなわち彼らの目標の一つであった「政治主導」が今の生活の党の小沢代表の剛腕によって曲がりなりにも最も達成された鳩山内閣期には財務省の影響力は限定的で消費増税は否定され(その背後事情は、小沢氏一流の選挙至上主義に基づいてバラマキによる財政悪化が頓着されなかったことでしょう)、逆に、歴代財務相経験者でもある菅元首相と野田最高顧問の政権で消費増税が具体的な課題となったのは、その小沢氏が失脚した間隙を財務官僚が突いたものだったとすれば、政権と財務省の距離は近年では鳩山内閣期に最も離れ、菅、野田両内閣期に最も接近したと理解できるのでしょう。
その上で、消費増税を決定しつつも財務省とは同床異夢の部分のある今の第二次安倍政権が、それらの中間に位置取れることも浮かび上がってくるでしょう。
税制改正で焦点となった軽減税率の扱いで、党税調会長で旧大蔵省出身の野田元自治相が消極的な一方、公明党税調会長の斉藤幹事長代行が積極的で自公の調整が難航した際、安倍さんは党税調に公明党への配慮を指示していますが、これは安倍さんと財務省の間に、消費増税に対する温度差があることを物語っていると言えます。
なお、野田さんが語るように軽減税率を「10%時に導入する」とされたのは「(10%に)上げる時と上げた後と両方含まれるとの見方がある」ものであり(時事通信、13.12.15-11:54)、公明党が前者、財務省が後者の立場ということになりますが、それらはいずれにしても消費税率を15年10月に8%から更に引き上げて10%とすることが前提にされた議論であり、小さな政府論者で元来は消費増税に慎重な安倍さんがそもそも10%を見送れば、税制を巡る官邸、自民党および党税調、公明党、財務省の関係性が複雑に変化することもあるかもしれません。
党税調や財務省は10%見送りに反対するかと思われますが、翌16年7月には参院選あるいは衆参同日選が行われるという政治日程的に、自民党の大勢はそれを求めることが例えば考えられるでしょうか。
また、既述のように15年9月には次期総裁選が行われるため、翌10月1日の消費税率の再引き上げの扱いはその際の大きな焦点となるに違いないでしょう。
そしてその時、安倍さんや麻生さん、菅さんなどが10%見送りを総裁再選戦略の要諦に据えることは十分考えられると言ってよいかもしれません。
今のところ、総裁二期目に保守政策を推進するために世論の支持を意識して、安倍さんは10%を見送るのではないかとも思われますが、そうだとすれば、総裁再選戦略と連関していくはずの10%への消費増税が具体的課題となってくるのにつれて、財務省との関係が緊迫していくことはあり得るのでしょう。
なお、安倍さんと政策観を共有して財務省に代わって政権内で存在感を持っている経産省は、例えば所管する自動車業界が関わる軽自動車増税について慎重姿勢を見せたことがありますが(時事通信、13.10.30-22:28)、仮に安倍さんが10%を見送ろうとする場合、経産省はそれを後援することになるのかもしれません。
それらのような展開も、安倍さんの「「景気回復の波」を…全国津々浦々に広げていくのが私の仕事です」という意気込みを今後の政治日程に照らせば、考えられるでしょうか。
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