スパコン「京」新時代】「100京」次世代機、来年度から開発
2014.2.3 11:00
理研は来年度から、計算速度を京の100倍に向上させた次世代スパコンの開発に着手する。2020年に世界最高水準での運用開始が目標だ。創薬や防災などの多様な分野で大規模、超高速のシミュレーションを実現し、日本の国際競争力の維持に役立てる。
京の計算速度は毎秒1京510兆回(京は1兆の1万倍)。次世代機はこれを100京回に引き上げ、同時に行える計算の数も京の100倍に増やす。この複合効果で性能は格段に向上。1万種の化合物から薬剤候補を絞り込む計算は、京では2年5カ月かかるが、160分の1のわずか5日半で完了する。
単独の現象として扱うしかなかった宇宙の暗黒物質の形成や、超新星爆発などを複合的にとらえる研究も実現。宇宙の起源や進化の壮大なストーリーを統合的に探ることができそうだ。
このほか、ゲリラ豪雨の超高精度なリアルタイム予測や、1千を超すシナリオで「想定外」の見落としをなくす広域複合災害の被害想定、電子1個の動きまで踏まえた超微細な電子部品の設計など、多くの分野で研究が飛躍的に進む。
膨大な消費電力が課題だが、半導体の性能向上で京の数倍の30~40メガワットに抑える。総事業費も京の2割増の1400億円で、設置に必要な床面積も京を上回らない。性能を考えれば、省エネ・省資源のスパコンともいえる。
100京級の次世代スパコンは、米国や欧州も20年ごろの運用開始を目指しており、中国も計画している。日本が科学や産業でトップクラスの国際競争力を維持し、豊かな社会生活を続けていくためには次世代機が欠かせない。
京の性能は11年に世界首位だったが、翌年に米国に抜かれた。理研計算科学研究機構の平尾公彦機構長は「評価法は時代で変わるので次世代機で世界一を取るとは言わないが、世界で最も役に立つスパコンを目指す」と話している。(伊藤壽一郎)
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米国に追い抜かれたと、ありますが、正確には中国にも抜かれています。
もし二番などを目指していたら、今頃はランキングにも入っていないでしょう。
厳しい競争でが、銀メダルなどを目指す選手がいないのと同じです。
開発経費も掛かりますが、京は早くもきっちりと結果を出してきています。
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