ビットコインは「通貨に該当せず」と政府見解を閣議決定 銀行・証券は取引仲介できず
2014.3.7 10:13(産経)
政府は7日、インターネット上の仮想通貨ビットコインが「通貨に該当しない」とする公式見解を閣議決定した。相場で価格が変動する金などの貴金属と同様に「モノ」として扱う。売買で利益が出た場合は所得税をかける。銀行や証券会社は取引仲介や専用口座の開設もできないとした。
ビットコインの世界最大級の取引所マウントゴックス(東京)の経営破綻で混乱が続いており、ルールの明確化が必要と判断した。
金融庁などの関係省庁がビットコインの実態把握に取り組んでおり、与党内では何らかの規制を導入すべきとの意見が強い。
茂木敏充経済産業相は閣議後の記者会見で、ビットコインに関し「実態把握に努め、必要があれば海外の動向も踏まえて関係省庁で対応を検討する」との認識を示した。麻生太郎財務相は「通貨でないことははっきりしている。規制対象に今後するのかどうかは、まだ分からない」と話した。
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ビットコインなるものについて、正直言って全然知らなかったのですが、今回のマウントゴックスの騒ぎで知ったひとりです。
さて、貴金属は確かに「モノ」ですが、ビットコインを「モノ」だとするのはかなり無理があると思います。目に見えず、入れ物にも入らず、重量もありません。単にネット空間に存在する情報としての権利ではないでしょうか。
ゴルフ会員権などはちゃんとした会員証(モノ)があります。
だからこれは法律用語でいう「財物」にも当たらないでしょう。
マネーロンダリングへの対策として、銀行もいろいろ規制されていて、このあおりで不便なこともありますね。
銀行取引をいくら監視しても、一方でビットコインの類が個人情報も不明なままで自由に決済に使われるとすれば、この状況は防がなければなりません。
北朝鮮への制裁に大きな抜け道が出来てしまいます。他にも麻薬・覚醒剤を含む非合法な取引のアングラマネーとしてはもってこいです。まして日本はアングラマネーが流入するより流出する方が遥かに多いでしょう。
下に貼ったマイナビニュースでも、犯罪に利用されやすいことを理由にロシアが禁止しています。
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ビットコインって何なの?危険じゃないの?「通貨として扱うのは違法」
2014年2月、ロシアはビットコインを非合法化した。通貨として使えるのに銀行が管理していないため、犯罪に利用されやすいからだ。
ビットコインはおカネなのか? 通常、おカネは中央銀行が発行すべきものだから、ビットコインはヤミ通貨と呼ぶべきだ。「物」なら違法ではないが、売買するには許可が必要になるはずだ。ビットコイン自体が無くなっても、責任を取るひとはいないので、危険極まりない投資になりそうだ。
■正体不明のビットコイン
ビットコインは2008年にサトシ・ナカモトと名乗る人物が提唱したと言われている。通常、通貨は国が管理するのに対し、独立した通貨作りが呼びかけられ、世界中の賛同者によって作り出された仮想通貨だ。
ビットコインが規制されている国が多いのはなぜか? 最大の理由は、国が管理していないのに、おカネの役割を果たすからだ。
おカネは日本銀行のような中央銀行が発行し管理する。もし企業が勝手に発行したら、倒産しました=紙幣は紙クズ、となる可能性が高い。そこで国の中央銀行が責任を持って管理しているのだ。逆にいえば、国が管理していないビットコインはヤミ通貨に過ぎない。
諸外国の対応をあげると、
・容認 … ドイツ、シンガポール
・警告 … アメリカ、フランス
・禁止 … ロシア、中国、インド、タイ
日本は検討中というが、この状況下でなにを検討したいのか、理解できない。
プリペイドカード式の電子マネーと考えたらどうなるのか? これも日本の法律ではNGで、内閣総理大臣への届け出が必要になる。
「前払式支払手段」が正式名称で、印刷/電磁的な記録を問わず、
1. 金額や物品・サービスの数量の記録
2. 事前に対価(料金)を支払う
3. 金額や物品・サービスの数量がわかるID番号を発行
4. ID番号を提示すれば、商品が手に入る
と、厳しい規定がある。これは商品券やカタログギフトも同様で、おカネに代わる権利を作るためには、発行者が申請/登録しなければならない。しかもプリペイドカードと名乗るなら、1.の通り「何円分」かの明記が必要なのに対し、ビットコインは相場によって変動するので500円分買っても、いくら分使えるのかはっきりしない。
この時点で「プリペイド」と名乗る資格すらないのだ。
■品物でも許可が必要
もし、実体のある「品物」としてあつかったらどうなるのか? これも日本ではグレーで、個人が買って使うのは問題ないが、投資目的の売買や、取引所などと呼ばれる企業が買い取るには古物商の許可が必要になる。
許可がいる/いらないは、販売目的か否かがポイントになる。おおまかにパターン分けすると、
・自分が使っていたものを売る … 不要
・転売目的で購入したものを売る … 必要
・誰かのものを買い取る … 必要
なので、たまたま持っていたビットコインを売るなら問題ないが、FXのようにもうけるためなら転売目的と判断される。また、ビットコインを現金に換える取引所は「買い取り」をおこなっていることになるので、許可に加えて台帳も用意しなければならない。
オークション・サイトで自分の不要品を売買なら許可はいらないが、サイト運営者は「古物競りあっせん業」の届け出が必要なのでこれも要注意。たとえビットコインを「品物」だと主張しても、売り買いするにはクリアしなければならない法律が多いのだ。
たとえ合法でもリスクが大きい。価格変動が激しすぎるのだ。直近のビットコインの相場(円)を週単位で比べると、
・1月26日 … 97,500円
・2月9日 … 38,361円
・2月23日 … 17,600円
と、約1か月で6分の1程度にまで下がってしまった。実体のない「バブル通貨」がはじけるのも、時間の問題だろう。
■まとめ
・ビットコインは、責任者がいない
・通貨として扱うのは違法
・品物あつかいでも、許可が必要
2/26のニュースで、日本の取引交換所が停止したと報じられた。
銀行なら「預金を払い戻せない」状態だから、持っているひとは至急対処しよう。
(関口 寿/ガリレオワークス)