重文109件が所在不明 未確認238件は再調査 文化庁
国宝を含む国の重要文化財が全国各地で所在不明になっている問題で、文化庁は4日、27都府県で国宝の刀剣1件を含む重文109件が所在不明になっているとの調査結果を発表した。ほかに確認作業を終えていない重文が238件(うち国宝12件)あり、不明件数はさらに増える見通しだ。文化庁は「件数の多さを重く受け止めている」とし、8月までに2次調査を実施するとともに、再発防止に取り組む。
調査によると、所在不明の重文109件のうち工芸品が59件で、中でも刀剣が52件を占めた。所在不明の国宝は短刀「銘国光(めいくにみつ)」で、所有者の東京都の男性が約20年前に死亡し、遺族も行方を把握していなかったという。ほかに彫刻17件、書跡・典籍13件、絵画10件、古文書8件、考古資料2件だった。
所在不明のうち33件は盗難で、仏像など彫刻が14件を占めた。また、個人所有が62件と多く、所有者の転居や死亡により所在不明になるケースが多かった。
今回の調査は、昨年秋に重文の多くが所在不明になっていると報じられたことを受けて実施。文化庁は都道府県教委を通じて、国の重文指定を受けた美術工芸品1万524件(うち国宝871件)の全てについて、届け出通り保存されているかを調べた。
文化庁は来年度以降、重文の所有者に年1回、はがきやメールで所在確認をするほか、4年ごとに都道府県教委などと連携し、現物確認を行う方針
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重要文化財が国宝1件を含めて109件も所在不明になっているという、恐ろしい調査結果が発表されました。これを受けて今後は、重文の所有者に葉書やメールで年1回確認し、4年ごとに現物を確認する制度が始ります。
もちろんこの制度が無いより有るに越したことないですが、これだけで良いのでしょうか。
特に個人の所有者の中には「そんな面倒な物ならさっさと処分したい」と思う方も出るでしょう。新しい制度が却って流失を促進する可能性もあるのです。
正しい保管の所有者に対しては若干の補助金を、また売買を許可制にするなど規制を強化する必要があると私は思います。
なぜなら民法上の所有権の考えとは別に、日本の財産を管理して頂いていることについての感謝と強いお願いが必要と感じるからです。
また個人所有者が望む場合に、美術館・博物館による買い取りを促進する仕組みも必要でしょう。
さらに最近は放火したり故意に壊したりする事件も増えています。来日または在住する外国人の仕業と思われるものも少なくありません。
ところが身近にある文化財(例えば都道府県指定の文化財など)は文化財保護法の対象にさえなっていません。
この問題を訴える過去記事です。
文化財は今生きている我々のためだけではなく、ずっとバトンタッチして行かなければないない大切な物です。