理瀬さまのブログ『◆安倍晋三さん「美しい国づくり」・創生「日本」・救国ネット支持◆』より転載させて頂きました。
オセアニア歴訪~安全保障と通商 Image may be NSFW.
なんと、オーストラリアの議会は休会中だったのを、安倍演説のために特別召集されていた!
(以下、転載記事)
オセアニア歴訪~安全保障と通商 Image may be NSFW.
Clik here to view.
+--【安倍晋三です】--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+
こんばんは安倍晋三です
日曜日からオーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニアを巡る外遊へ出発いたしました。
ニュージーランド訪問の最初に歓迎行事に出席しました。
ニュージーランド原住民族であるマオリ族のグループによる勇壮な歓迎の舞踏を見せて頂きました。
キー首相との首脳会談では、TPPなど経済関係のほか、日本の積極的平和主義の立場から、先日閣議決定した安全保障政策について説明を行い、理解を得ることができました。
■ツイートする
■シェアする
+--+--+--+-+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+(2014.07.07[Mon] 23:19)
+--【安倍晋三です】--+--+---+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+
今回の外遊、二カ国目となるオーストラリアを訪問しています。
日本の首相として初めて豪議会で演説を行いました。
日豪は、開放的で自由な市場を作るために、そして、地域と世界の秩序を作り平和を守っていくために、これまで築いた信頼関係の基に新たな特別な関係へ踏み出しました。私のスピーチは豪議会で大きな拍手をいただきました。
■ツイートする
■シェアする
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+(2014.07.08[Tue] 23:19)
+--【おはようございます。安倍晋三です】--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+
昨日はアボット首相のご厚意により、専用機でウエスト・アンジェラス鉱山を訪問しました。
道中、アボット首相とは、この3日間で最も長く、楽しい時間を共有できました。
同鉱山は、日本とオーストラリアの合弁企業で、立ち上げから50年以上も経過しており、両国の強固な関係を象徴するものです。経済面でも安全保障面でも、今後も長く、そしてさらに強い信頼関係で結ばれるよう、両国の関係を深めてまいります。
■ツイートする
■シェアする
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+(2014.07.10[Thu] 07:34)
▼安倍晋三事務所携帯版HP
http://www.s-abe.jp/
*メルマガの配信元です。
■三通目からは安倍さんとアボット首相の親密ぶりと個人的な信頼関係のあることが窺われますが、9日の『朝日新聞』朝刊によると「アボット政権の親日ぶりは際立」っていて、スピーチに「大きな拍手をいただ」いたという議会については、「休会中の下院は今回、安倍首相の演説のためだけに150人の議員を特別招集」したということ。
オーストラリアでは労働党のラッド前首相が親中派として知られますが、昨年9月にそれと政権交代したのが保守連合のアボット氏であり、安倍さんとは大いにケミストリーが合うのでしょう。
『美しい国へ』にはオーストラリアについて「普遍的価値を日本と共有している」との評価があり、第1次安倍政権期07年3月には当時のハワード首相が来日して「日豪安保協力共同宣言」が調印されているように、安倍さんはかねて安全保障面でオーストラリアを重視。
また、やはり第1次政権期06年12月にはインドとの「日印戦略的グローバルパートナーシップ」が署名されていますが、安倍外交は日米同盟を機軸に、『美しい国へ』で提唱されている「アジア・大洋州デモクラティックG3プラス・アメリカ」という日米印豪4ヵ国の枠組みを形成することを壮大な構想としていると言えるでしょう。
価値観外交に通じるそれが一連の中国問題を念頭していることは論を待ちませんが、インドで5月に就任したモディ首相は初の外遊でブータンを訪れて、「ブータンに接近する中国を暗に牽制」(『産経新聞』14.6.17-1:22)しており、インドが「アジア・大洋州デモクラティックG3プラス・アメリカ」に便乗し、それを外交戦略として日本と共有する素地は大いにあるでしょう。
なおモディ氏は「日本から初外遊で訪日するよう求められ」(同上)ていたというので、それは容れられなかったことになりますが、ブータン訪問の意図が「中国を暗に牽制」することにあるなら、日本の外交戦略との齟齬は決して大きくないと考えてよいのでしょう。
日豪両国はアメリカを共通の同盟国としますが、いずれも中国が海洋進出する西太平洋とインド洋の双方に臨むオーストラリア北部ダーウィンへの米海兵隊の駐留(2012~)は、西部で南シナ海を睨むフィリピンへの米軍の事実上の再駐留(2014~)、そして東シナ海に西接する南西諸島、沖縄の在日米軍基地と併せて、太平洋国家を自認するアメリカの地域への関与すなわちリバランス政策の要諦です。
日米安保条約6条=極東条項には米軍が「日本国の安全」のみならず「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため…日本国において施設及び区域を使用することを許される」とあって、在日米軍基地ひいては日米同盟が広く地域の安全保障に関することが定められていますが、54年前に謳われたその精神は、21世紀のリバランス政策に今こそ全く適うと言ってよいでしょう。
その点で豪ダーウィンやフィリピンへの米軍の駐剳は極東条項のバリエーションであると言えるとすれば、安倍さんの唱える「アジア・大洋州デモクラティックG3プラス・アメリカ」は、岸元首相による極東条項を重層的にすることによって実現されると言えるでしょうか。
それは祖父の岸さんを敬愛する安倍さんにこそ相応しい仕事であるに違いありません。
■今回の外遊には財界関係者も多数帯同し、安倍さんはニュージーランドのキー首相やオーストラリアのアボット氏との会談でTPP交渉の早期妥結に向けて取り組む方針を確認していますが、TPP推進がアベノミクスの本丸たる成長戦略において重要視されていることは改めて明らかです。
安倍さんの経済政策は、成長戦略において法人減税がTPPと並ぶその根幹に位置づけられるように、総じて財界と気脈を通じていると言えるでしょうか。
また、二通目に「開放的で自由な市場を作る」とある通り、経済のグローバリズムという世界規模の現実に即応していることも明らかでしょう。
安倍さんは6月30日付の英紙『フィナンシャル・タイムズ』に論文「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」を寄稿していますが、6月30日9:00の『産経新聞』によれば、そこでは外資を呼び込むべく法人減税に取り組んでいることがアピールされ、「規制の撤廃…、エネルギーや農業、医療分野を外資に開放すること」が「言明」されているというほか、少子高齢化社会でも経済成長を持続するために重要な「女性の社会進出」に関連して「働く母親のために家事を担う外国人労働者の雇用を可能にする」と「約束」されているといいます。
そこから窺えるのは、高度経済成長と税収増の下での公共事業による所得の再分配というかつての自民党の経済政策が堪えない時代に必然的に、安倍さんが構造改革を志向していることと、「開放的で自由な市場」というスタンダードへの順応の必要性、そしてそれらを対外的にアピールして対日投資を促進するのが強く意識されていることでしょう。
戦前1937年2月に発足した林銑十郎内閣の結城豊太郎蔵相はそれまでに旧興銀総裁や日商会頭を務めた財界出身者で、その前の広田弘毅内閣の馬場〓一蔵相による、公債を大増刷し軍事費を増大させて財界から甚だ不評だった予算を是正していますが、それは財政規律の観点から、今の第2次安倍内閣の経済政策に通じると言えるでしょう。
安倍さんは「経済成長と財政再建の両立」を掲げていますが、それは、金融緩和と財政出動はデフレへの対症療法であり、経済成長の実現可能な環境の整備に必要な景気刺激策である一方、財政規律を乱して日本の財政や国債の対外的な信認を損なって景気刺激策を続行できなくするという自家中毒を引き起こす性質を持っていることによる、と理解できるでしょうか。
そして、それを回避するための財政再建はアベノミクスに本質的にビルトインされていた第4の「見えざる矢」だったろうとは、都度指摘しているとおりです。
もしそうでなければ、日本の財政は金融緩和と財政出動によって馬場財政のように著しく悪化し、対外的な信認を失って海外の対日投資の減少や株価の下落を招いていた可能性がありますが、安倍さんはもともと財政規律について、例えば第1次政権期07年度のプライマリー・バランスがマイナス6兆円まで改善されたのをその治績とするように、また上記「悪魔を倒す」の論文で「経済再建なしに財政の健全化はあり得ないと述べ」られているとおり経済成長による税収の回復が目指されているように、無頓着でないのであり、金融緩和と財政出動のそういう負の性質を財政再建によって補完するのは既定的だったと言うべきでしょう。
そしてそれはさしずめ、広田内閣から林内閣の交代に伴って馬場財政が結城財政によって手直しされたことが、第2次安倍内閣のアベノミクスにおいて再現されたと言えるでしょうか。
また、13年8月に行われた消費税率引き上げに関するヒアリングでは、中止した場合の「株安、通貨安、債券安のトリプル安の恐れ」(『朝日新聞』同月31日22:08)を指摘した当時の経団連会長の米倉住友化学会長を含め日商の岡村会頭や経済同友会の岡本副代表幹事といった経済団体の幹部が揃って賛成を開陳していますが、それは馬場財政に対する反応と同じように、財界が収支の赤字化を嫌うことと無関係ではなかったでしょう。
林内閣ではまた、外務省出身の佐藤尚武外相による対中融和的な佐藤外交の下、実業家で旧横浜正金銀行出身の児玉謙次を団長とする訪中団が組織されていますが、そのように当時軍事的に緊張していた中国を市場と位置づけたのも財界出身者が影響力を持った林内閣期らしいのであり、それは、現在、財界関係者を従えてTPP参加国として日本にとって市場たりうるニュージーランドやオーストラリアを歴訪する安倍さんの政権に肖似すると言えるでしょう。
林内閣で結城蔵相が無軌道な財政を修正して内閣と財界が協調したことは、林首相が陸軍出身であったことから軍財抱合と呼ばれますが、それに倣えば、安倍さんは自民党総裁として政党に立脚する党人派の政治家なので、以上のように財政や通商で財界と気脈を通じたその経済政策のスタイルは政財抱合と呼べるでしょうか。
■オーストラリアでは日豪EPAが調印されました。
日豪EPAについては3月だけでも甘利経済再生担当相や茂木経産相、林農水相、党TPP対策委員長の西川政調副会長という内閣や党の担当者に加えて当時の経団連会長の米倉さんがアボット氏あるいはロブ貿易・投資相と会談していますが、3月18日13:54の『産経新聞』には、その「背景」として「現状を政官民一体で打開したい思惑」が指摘されており、政権と財界の密接な連携があることはここでも明らかでしょう。
ところで同記事はまた「オーストラリアとのEPA交渉を先行させることで…米国の焦りを誘い、TPP交渉で譲歩を引き出したい考え」があることを指摘して、日豪EPAとTPPを関連づけています。
今回の調印で日豪EPAはまさにTPPに「先行」する形になりましたが、それはそれ自体一つの成果であると同時に、より高度な自由貿易体制であるTPPの推進の一環でもあるということになるでしょうか。
TPP推進は地域における枠組み作りという点で「アジア大洋州デモクラティックG3プラス・アメリカ」に通じ、安倍さんは安全保障と通商を連関させて、その意味でもTPPを重視していると考えても大過はないでしょう。
ところで、TPPには中国も参加を模索する動きがあると指摘されることがありますが、国際社会の中国への対応にはそもそも「包囲」と「関与」の硬軟二途があるのであり、TPPによれば、日米豪が地域の「開放的で自由な市場」という通商ルール作りで先行し中国を「包囲」する、というのとともに、異質な中国を日米豪などのマジョリティの価値観に馴らすべく、その枠組みに取り込んで「関与」していく、という戦略も展望できることは言うまでもありません。
(R)
こんばんは安倍晋三です
日曜日からオーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニアを巡る外遊へ出発いたしました。
ニュージーランド訪問の最初に歓迎行事に出席しました。
ニュージーランド原住民族であるマオリ族のグループによる勇壮な歓迎の舞踏を見せて頂きました。
キー首相との首脳会談では、TPPなど経済関係のほか、日本の積極的平和主義の立場から、先日閣議決定した安全保障政策について説明を行い、理解を得ることができました。
■ツイートする
■シェアする
+--+--+--+-+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+(2014.07.07[Mon] 23:19)
+--【安倍晋三です】--+--+---+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+
今回の外遊、二カ国目となるオーストラリアを訪問しています。
日本の首相として初めて豪議会で演説を行いました。
日豪は、開放的で自由な市場を作るために、そして、地域と世界の秩序を作り平和を守っていくために、これまで築いた信頼関係の基に新たな特別な関係へ踏み出しました。私のスピーチは豪議会で大きな拍手をいただきました。
■ツイートする
■シェアする
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+(2014.07.08[Tue] 23:19)
+--【おはようございます。安倍晋三です】--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+
昨日はアボット首相のご厚意により、専用機でウエスト・アンジェラス鉱山を訪問しました。
道中、アボット首相とは、この3日間で最も長く、楽しい時間を共有できました。
同鉱山は、日本とオーストラリアの合弁企業で、立ち上げから50年以上も経過しており、両国の強固な関係を象徴するものです。経済面でも安全保障面でも、今後も長く、そしてさらに強い信頼関係で結ばれるよう、両国の関係を深めてまいります。
■ツイートする
■シェアする
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+(2014.07.10[Thu] 07:34)
▼安倍晋三事務所携帯版HP
http://www.s-abe.jp/
*メルマガの配信元です。
■三通目からは安倍さんとアボット首相の親密ぶりと個人的な信頼関係のあることが窺われますが、9日の『朝日新聞』朝刊によると「アボット政権の親日ぶりは際立」っていて、スピーチに「大きな拍手をいただ」いたという議会については、「休会中の下院は今回、安倍首相の演説のためだけに150人の議員を特別招集」したということ。
オーストラリアでは労働党のラッド前首相が親中派として知られますが、昨年9月にそれと政権交代したのが保守連合のアボット氏であり、安倍さんとは大いにケミストリーが合うのでしょう。
『美しい国へ』にはオーストラリアについて「普遍的価値を日本と共有している」との評価があり、第1次安倍政権期07年3月には当時のハワード首相が来日して「日豪安保協力共同宣言」が調印されているように、安倍さんはかねて安全保障面でオーストラリアを重視。
また、やはり第1次政権期06年12月にはインドとの「日印戦略的グローバルパートナーシップ」が署名されていますが、安倍外交は日米同盟を機軸に、『美しい国へ』で提唱されている「アジア・大洋州デモクラティックG3プラス・アメリカ」という日米印豪4ヵ国の枠組みを形成することを壮大な構想としていると言えるでしょう。
価値観外交に通じるそれが一連の中国問題を念頭していることは論を待ちませんが、インドで5月に就任したモディ首相は初の外遊でブータンを訪れて、「ブータンに接近する中国を暗に牽制」(『産経新聞』14.6.17-1:22)しており、インドが「アジア・大洋州デモクラティックG3プラス・アメリカ」に便乗し、それを外交戦略として日本と共有する素地は大いにあるでしょう。
なおモディ氏は「日本から初外遊で訪日するよう求められ」(同上)ていたというので、それは容れられなかったことになりますが、ブータン訪問の意図が「中国を暗に牽制」することにあるなら、日本の外交戦略との齟齬は決して大きくないと考えてよいのでしょう。
日豪両国はアメリカを共通の同盟国としますが、いずれも中国が海洋進出する西太平洋とインド洋の双方に臨むオーストラリア北部ダーウィンへの米海兵隊の駐留(2012~)は、西部で南シナ海を睨むフィリピンへの米軍の事実上の再駐留(2014~)、そして東シナ海に西接する南西諸島、沖縄の在日米軍基地と併せて、太平洋国家を自認するアメリカの地域への関与すなわちリバランス政策の要諦です。
日米安保条約6条=極東条項には米軍が「日本国の安全」のみならず「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため…日本国において施設及び区域を使用することを許される」とあって、在日米軍基地ひいては日米同盟が広く地域の安全保障に関することが定められていますが、54年前に謳われたその精神は、21世紀のリバランス政策に今こそ全く適うと言ってよいでしょう。
その点で豪ダーウィンやフィリピンへの米軍の駐剳は極東条項のバリエーションであると言えるとすれば、安倍さんの唱える「アジア・大洋州デモクラティックG3プラス・アメリカ」は、岸元首相による極東条項を重層的にすることによって実現されると言えるでしょうか。
それは祖父の岸さんを敬愛する安倍さんにこそ相応しい仕事であるに違いありません。
■今回の外遊には財界関係者も多数帯同し、安倍さんはニュージーランドのキー首相やオーストラリアのアボット氏との会談でTPP交渉の早期妥結に向けて取り組む方針を確認していますが、TPP推進がアベノミクスの本丸たる成長戦略において重要視されていることは改めて明らかです。
安倍さんの経済政策は、成長戦略において法人減税がTPPと並ぶその根幹に位置づけられるように、総じて財界と気脈を通じていると言えるでしょうか。
また、二通目に「開放的で自由な市場を作る」とある通り、経済のグローバリズムという世界規模の現実に即応していることも明らかでしょう。
安倍さんは6月30日付の英紙『フィナンシャル・タイムズ』に論文「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」を寄稿していますが、6月30日9:00の『産経新聞』によれば、そこでは外資を呼び込むべく法人減税に取り組んでいることがアピールされ、「規制の撤廃…、エネルギーや農業、医療分野を外資に開放すること」が「言明」されているというほか、少子高齢化社会でも経済成長を持続するために重要な「女性の社会進出」に関連して「働く母親のために家事を担う外国人労働者の雇用を可能にする」と「約束」されているといいます。
そこから窺えるのは、高度経済成長と税収増の下での公共事業による所得の再分配というかつての自民党の経済政策が堪えない時代に必然的に、安倍さんが構造改革を志向していることと、「開放的で自由な市場」というスタンダードへの順応の必要性、そしてそれらを対外的にアピールして対日投資を促進するのが強く意識されていることでしょう。
戦前1937年2月に発足した林銑十郎内閣の結城豊太郎蔵相はそれまでに旧興銀総裁や日商会頭を務めた財界出身者で、その前の広田弘毅内閣の馬場〓一蔵相による、公債を大増刷し軍事費を増大させて財界から甚だ不評だった予算を是正していますが、それは財政規律の観点から、今の第2次安倍内閣の経済政策に通じると言えるでしょう。
安倍さんは「経済成長と財政再建の両立」を掲げていますが、それは、金融緩和と財政出動はデフレへの対症療法であり、経済成長の実現可能な環境の整備に必要な景気刺激策である一方、財政規律を乱して日本の財政や国債の対外的な信認を損なって景気刺激策を続行できなくするという自家中毒を引き起こす性質を持っていることによる、と理解できるでしょうか。
そして、それを回避するための財政再建はアベノミクスに本質的にビルトインされていた第4の「見えざる矢」だったろうとは、都度指摘しているとおりです。
もしそうでなければ、日本の財政は金融緩和と財政出動によって馬場財政のように著しく悪化し、対外的な信認を失って海外の対日投資の減少や株価の下落を招いていた可能性がありますが、安倍さんはもともと財政規律について、例えば第1次政権期07年度のプライマリー・バランスがマイナス6兆円まで改善されたのをその治績とするように、また上記「悪魔を倒す」の論文で「経済再建なしに財政の健全化はあり得ないと述べ」られているとおり経済成長による税収の回復が目指されているように、無頓着でないのであり、金融緩和と財政出動のそういう負の性質を財政再建によって補完するのは既定的だったと言うべきでしょう。
そしてそれはさしずめ、広田内閣から林内閣の交代に伴って馬場財政が結城財政によって手直しされたことが、第2次安倍内閣のアベノミクスにおいて再現されたと言えるでしょうか。
また、13年8月に行われた消費税率引き上げに関するヒアリングでは、中止した場合の「株安、通貨安、債券安のトリプル安の恐れ」(『朝日新聞』同月31日22:08)を指摘した当時の経団連会長の米倉住友化学会長を含め日商の岡村会頭や経済同友会の岡本副代表幹事といった経済団体の幹部が揃って賛成を開陳していますが、それは馬場財政に対する反応と同じように、財界が収支の赤字化を嫌うことと無関係ではなかったでしょう。
林内閣ではまた、外務省出身の佐藤尚武外相による対中融和的な佐藤外交の下、実業家で旧横浜正金銀行出身の児玉謙次を団長とする訪中団が組織されていますが、そのように当時軍事的に緊張していた中国を市場と位置づけたのも財界出身者が影響力を持った林内閣期らしいのであり、それは、現在、財界関係者を従えてTPP参加国として日本にとって市場たりうるニュージーランドやオーストラリアを歴訪する安倍さんの政権に肖似すると言えるでしょう。
林内閣で結城蔵相が無軌道な財政を修正して内閣と財界が協調したことは、林首相が陸軍出身であったことから軍財抱合と呼ばれますが、それに倣えば、安倍さんは自民党総裁として政党に立脚する党人派の政治家なので、以上のように財政や通商で財界と気脈を通じたその経済政策のスタイルは政財抱合と呼べるでしょうか。
■オーストラリアでは日豪EPAが調印されました。
日豪EPAについては3月だけでも甘利経済再生担当相や茂木経産相、林農水相、党TPP対策委員長の西川政調副会長という内閣や党の担当者に加えて当時の経団連会長の米倉さんがアボット氏あるいはロブ貿易・投資相と会談していますが、3月18日13:54の『産経新聞』には、その「背景」として「現状を政官民一体で打開したい思惑」が指摘されており、政権と財界の密接な連携があることはここでも明らかでしょう。
ところで同記事はまた「オーストラリアとのEPA交渉を先行させることで…米国の焦りを誘い、TPP交渉で譲歩を引き出したい考え」があることを指摘して、日豪EPAとTPPを関連づけています。
今回の調印で日豪EPAはまさにTPPに「先行」する形になりましたが、それはそれ自体一つの成果であると同時に、より高度な自由貿易体制であるTPPの推進の一環でもあるということになるでしょうか。
TPP推進は地域における枠組み作りという点で「アジア大洋州デモクラティックG3プラス・アメリカ」に通じ、安倍さんは安全保障と通商を連関させて、その意味でもTPPを重視していると考えても大過はないでしょう。
ところで、TPPには中国も参加を模索する動きがあると指摘されることがありますが、国際社会の中国への対応にはそもそも「包囲」と「関与」の硬軟二途があるのであり、TPPによれば、日米豪が地域の「開放的で自由な市場」という通商ルール作りで先行し中国を「包囲」する、というのとともに、異質な中国を日米豪などのマジョリティの価値観に馴らすべく、その枠組みに取り込んで「関与」していく、という戦略も展望できることは言うまでもありません。
(R)