私の子供の頃は、人の集まる所には必ず傷痍軍人が何人かいて、アコーディオンを弾きながら「あぁ戦いの最中に~」と、この「戦友」を歌って施しを受けていました。
義手や義足も今とは全然違い木と金属のむき出しでした。
その風景と物悲しい旋律が耳に残っています。
「戦友」は軍歌ではありません。軍歌は軍が制定するものです。
これは日露戦争の際に作られたと言われ、兵士たちの間で歌い継がれていました。
口語訳(ウキペディアより)
ここは故郷を遠く数百里離れた満州。ここに戦友は眠っている。少し前まで最前線で戦っていたものがここに眠っている。
そう、戦いのさなか、私の隣で友は撃たれ倒れた。私はすぐに抱き起こし、「しっかりしろ!」と声をかけた。軍法では許されないのかもしれないが、とても放っては置けず弾丸飛び交う中で手当をしてやった。しかし折しも“突撃”の声。友は「お国のためだ、行け。俺に構うな」という。やむを得ず放置したのだが、それが今生の別れとなってしまった。戦いが終わった夕方に、せめて生きていてくれと探しに戻ったのだが、友は既に冷たくなり、魂は国へと帰っていた。友は死んでもそのポケットの中の時計はコチコチと動いており、その音が虚しい。
思えば日本を離れ、玄界灘(をはしる輸送船の中)で互いに名乗り合った日から、煙草も分け合い、手紙も見せ合い、互いのことはいろいろ知り合い、いずれ死んだときは骨を拾ってくれと言い合った仲でもある。だが、不思議に自分だけが死なず、友の墓穴を掘ることになるとは。
この月夜、行灯の明かりを頼りに、君の最期について親族に細々と説明の手紙を書くにつけ、この書状を読むであろうご遺族の思いを想像してつらい気持ちである。
今日は思い切って巡音(めぐりね)ルカの唄にします。
「巡音ルカ」というのは、ヤマハの開発した音声合成ソフトで、音符と歌詞を入力して歌を作ります。初音ミクとは別のキャラクターです。
なぜ、これを選んだかにという点ですが、多くの英霊と傷痍された兵士のおかげで、今の日本があります。
コンピュータで歌を作り、バーチャルなキャラクターに歌わせるという現代の日本人の技術も、これを楽しむ国民のセンスも余裕も全て先人のお蔭です。
歌詞が流れますので、噛みしめながら聴いてください。