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月の中心部は熱い。「かぐや」のデータを基に国立天文台などが発表

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月が変形、摩擦熱…中心熱く「今も生きている」

2014年07月29日 08時13分(読売)
イメージ 1
         月の内部のイメージ図。地表から深さ1200~1400キロ・メートルに
         熱くて軟らかい層(赤い部分)があるという(国立天文台提供)
 
月の中心付近は熱く、軟らかくなっているとみられるとの研究結果を、国立天文台や中国地質大などの研究チームが28日発表した。
 月は約10億年前に火山活動が終わり、冷えて固まったものと考えられていたが、研究チームは「月は今も生きている」としている。
 論文が英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に掲載された。
 月は、最大で十数センチほど伸び縮みしていることが、月周回衛星「かぐや」などの観測データから明らかになっている。
 この変形はこれまで、地球の引力の影響だけでは説明できなかったが、研究チームは、月の地表から深さ1200~1400キロ・メートルが軟らかい状態になっていれば起きることを突き止めた。月の半径は約1737キロ・メートルで、中心付近にあたる。
 研究チームは「月が変形して内部に摩擦熱が生じ、熱くなっている」とみている。
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これは大きい科学ニュースです。月面の火山活動は遠い昔に終了していたのに、中心部が熱いとは。
太陽光を反射して青く輝く月は冷えたイメージですのにね。
 
日本の月探査機「かぐや」は2007年の秋から1年半、月を周回して満載している各種の観測器機でデータを集めました。
そのひとつの成果が月の半径を極めて正確に計測したことです。
その半径が微妙に〝伸び縮み〟、地球の重力の影響だろうとは誰でも思いますが、それだけでは科学的に説明できないという疑問が湧いてきて、これを解決するのが今回の発表ですね。
 
ちなみに「かぐや」といえば、周回しながらハイビジョン・カメラで月面を精密に撮ってリアルタイムでお茶の間に送ってきてくれたことの印象が強いと思います。
でもあれは、おまけなのです。沢山ある成果の1つに過ぎません。
本当の凄い成果、それは月の重心は、ど真ん中ではなくて地球側に偏在しているという仮説を実証したことにあります。
 
イメージ 2
   「かぐや」が月を周回しているイメージ
 
現在の地球が出来るまえ、現在よりひと回り小さい「原始地球」と現在の月よりひと回り大きい天体が激しく衝突、両方の天体から飛び散った破片が集まって現在の地球と月が出来ました。(ジャイアント・インパクト説)
イメージ 3
 
地球より激しく壊れた月は、地球の引力によって、地球に向いた側に破片が多く集まって重心が偏在しました。
だから月は常にウサギ模様の表側だけを地球に向けています。
「かぐや」のデータは、このジャイアント・インパクト説を強力に補強する結果になりました。
 
他にも月面の正確な測量とか、巨大な地下横穴洞窟( 将来には日本隊の基地になる可能性あり)の存在の発見とか、 元素分布の調査とか、 いろいろ大々成功でした。
 
予定通り1年10カ月かけてほとんど全部のミッションが成功裏に終わり、「かぐや」の燃料も底をついて、 高度がどんどん落ちてきた頃、 JAXAの担当スタッフは最後のミッションへの準備を進めていま した。
それは地球から見える位置に墜落させて、 その激突の閃光を地上の望遠鏡で観測するというものです。
 
そして「かぐや」は計算で予測された通りの夜に落下しました。 ところが生憎、日本各地は厚い雲に覆われていました。 米国や欧州では明るい時間帯だったり、 地球の自転のために見えない位置関係でした。
しかし有難いことに、オーストラリアの天文台が「かぐや」 の最後の閃光をしっかりと見届けてくれていたのです。
 
なぜこの最後の閃光が大切だったのか。
月面は空気がないので、隕石が地球よりもかなり多く、 そのまま衝突していることは知られていましたが、
どれくらいの大きさの隕石がどのくらいというデータを得る方法が なかったのです。
「かぐや」は重量(1.6トン)が分かっていますから、 墜落の閃光の強さを観測すれば逆に、 隕石のデータに当てはめることができるのです。
今では「かぐや」 の遺してくれた最後の貴重なデータのおかげで月面落下隕石について多くのことが分かっています。
 
月探査機「かぐや」の偉業については、日本人は正しく知り、永く伝えてゆきたいものです。
 

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