【主張】
宇宙政策 安全保障への本格活用を
安全保障に宇宙をどう活用していくかが問われる時代に入っている。
政府内の諮問機関と自民党が宇宙政策に関する提言をまとめた。同政策と、日米協力を含む安全保障政策の連携を強めることを目指している。
人工衛星の破壊実験を強行した中国は、制海権や制空権のように「制宙権」を宇宙空間に設定しようと唱え始め、北朝鮮は宇宙空間を使うミサイル開発をやめない。
宇宙を含む安保環境の変化に応じた政策の推進が必要だ。宇宙基本計画見直しや日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定を通じ、しっかりと位置付けてほしい。
首相の諮問機関である宇宙政策委員会の提言は、宇宙予算で安全保障の優先順位を高めるよう求めている。自民党の宇宙総合戦略小委員会は、年間予算の事業規模を3千億円から5千億円に拡大し、予算を一元管理する宇宙庁の創設の検討を提言している。
財政難の中でも宇宙予算の確保は重要度を増している。科学技術の先端研究を損なうことなく、安全保障分野への配分を重視する方策をとるべきだ。
平成20年に成立した宇宙基本法は科学技術、安全保障、産業振興を、宇宙利用の3本柱に据えている。だが、政府内で安全保障の観点から宇宙政策が議論されることはまだ少ない。
同法で防衛目的の利用は認められたのに、昭和44年の国会の宇宙の平和利用決議に惰性で縛られてきたとしたら残念である。
今や、通信や情報収集から艦船・航空機・部隊の行動、ミサイル精密誘導のためのGPS(衛星利用測位システム)まで、軍事力は宇宙に大きく依存している。攻撃を受け衛星が機能不全に陥れば、戦力は発揮できなくなる。
宇宙政策委員会も提言で、「GPSを含む宇宙システム」への米軍のアクセスが遮断されて、抑止力が大きく損なわれる事態を強く懸念している。衛星の防護やバックアップ(代替)機能の確保は、日米両政府が共有する課題となっている。
2つの提言は、日本版GPSの準天頂衛星システムの活用や、海洋および宇宙の状況把握への日米協力の推進を打ち出している。衛星などの宇宙システムが攻撃に持ちこたえる力も向上させるとしている。中国の海洋活動に対する監視能力の強化も急務である。
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宇宙開発は昔は文部科学省に管轄でした。
そして愚かなことに、防衛目的には一切宇宙を利用せず研究もしないガチガチに長年凝り固まっていました。今の宇宙開発体制になったのは6年前です。
自民党は6月に「宇宙庁」を設置して内閣府に置く提言をまとめています。
いや、せっかく「宇宙庁」を創るなら、総理府ではなくて防衛省の管下に置きましょう。中国では宇宙関連は科学衛星も含めて、全部軍の管理下で開発・打ち上げ・利用が行なわれています。
一つの人工衛星を防衛に、気象観測に、放送に、科学研究に、複数の用途に使えるように開発すればいいのです。個々の衛星は重くなりますが、夫々に打ち上げるより、はるかに経済的です。
またひとつのカメラでいろんな画像を得て、気象庁などに提供すれば良いのです。
その作業は防衛省の職員が訓練を受けて行えばよいのです。(逆はいけません。)
実際にはそれぞれに目的に応じてかなり特化しているのですが、共用できる部分もあります。
二つ目の理由は、防衛用途での開発に、JAXAの技術をフルに活かすためです。
三つ目つの理由、それは情報の管理です。
JAXAはこれまでに2度も不正アクセスによって中国に技術情報を盗み出されています。とくに2回目はイプシロンロケットの情報で、これはミサイル技術に応用できる情報です。2度あることは3度あるといいます。
JAXAは情報の扱いについて、防衛省にしっかりと管理してもらうのがいいでしょう。
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「宇宙庁」3年後めどに設置 NSCで宇宙戦略策定を 自民提言案判明
宇宙政策をめぐっては、平成20年8月に宇宙基本法が施行され、自衛権の範囲内での宇宙の軍事利用に道を開いた。ただ、国内の宇宙開発は停滞しており、30年度以降の衛星打ち上げ計画は決まっていない。日本を取り巻く安全保障環境の変化から、安全保障分野での宇宙の活用の必要性が指摘されている。
このため、自民党は安全保障の観点からの宇宙政策を重視。提言案では、年末までに再改定する予定の日米防衛協力の指針(ガイドライン)に関し、宇宙政策を明確に位置づけるよう要請。宇宙ごみなどの宇宙状況監視(SSA)に関する統合監視・解析センターの設置などによって日米同盟の強化を促す。
同法で防衛目的の利用は認められたのに、昭和44年の国会の宇宙の平和利用決議に惰性で縛られてきたとしたら残念である。
今や、通信や情報収集から艦船・航空機・部隊の行動、ミサイル精密誘導のためのGPS(衛星利用測位システム)まで、軍事力は宇宙に大きく依存している。攻撃を受け衛星が機能不全に陥れば、戦力は発揮できなくなる。
宇宙政策委員会も提言で、「GPSを含む宇宙システム」への米軍のアクセスが遮断されて、抑止力が大きく損なわれる事態を強く懸念している。衛星の防護やバックアップ(代替)機能の確保は、日米両政府が共有する課題となっている。
2つの提言は、日本版GPSの準天頂衛星システムの活用や、海洋および宇宙の状況把握への日米協力の推進を打ち出している。衛星などの宇宙システムが攻撃に持ちこたえる力も向上させるとしている。中国の海洋活動に対する監視能力の強化も急務である。