【安倍政権考】
谷垣幹事長人事は「佐藤栄作級」
2014.9.6 12:00(産経)
なぜ安倍晋三首相は、自民党総裁経験者の谷垣禎一前法相を新幹事長に抜擢したのか。「重厚なサプライズ」(高村正彦党副総裁)の背景を探ってみると、消費税率引き上げへのリスク軽減と長期政権への布石という、2つの思惑が透けてみえる。首相にとって、「谷垣幹事長」の費用対効果は抜群といえそうだ。
谷垣幹事長の起用について各社の世論調査では、読売新聞が59%、日本経済新聞は46%、毎日新聞は47%が「評価する」と回答。読売、日経では「評価しない」を20ポイント近くも上回った。谷垣氏の登用は、女性閣僚の積極採用と合わせ、安倍内閣の支持率を10ポイント近く押し上げた2大要因ともなった。
首相は谷垣氏の起用を「8月初旬には考え始めていた」というが、恥ずかしながら産経新聞を含め全社がノーマーク。首相は菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官とともに谷垣氏に直談判し、「総裁まで務めた方に失礼を承知でお願いしたい」と熱心に口説いたという。
首相が谷垣氏に白羽の矢を立てた最大の理由は、晩秋に迫る「消費税率再引き上げ」判断を容易にするためだ。
首相は消費税率を法律通り、平成27年10月に10%に引き上げるかどうか、今年11月末から12月にかけて判断する。しかし日本経済は、4月に消費税率を8%へ引き上げた後遺症から立ち直っておらず、再増税への環境は厳しい。加えて今年は冷夏が響いて夏のデパート売上高などが伸び悩み、首相が再増税の判断材料とする7~9月期の経済指標も悪い観測が広がっている。
首相が既定方針通りに増税すれば、さらなる景気の冷え込みを招くのは必至。かといって引き上げを見送れば、財政再建を党公約に掲げる自民党内から猛反発を受けるのは避けられない。首相にとってはどちらの決断をしても、政権運営に大きなダメージを受けることになる。
万一増税見送りとなれば、批判の先頭に立つのは、自民党総裁として民主党の野田佳彦首相(当時)と公明党の山口那津男代表の3氏で、増税の「3党合意」を結んだ谷垣氏にほかならない。数人の自民党重鎮はこうした事態も予測して、谷垣氏に「首相と距離を置け」とアドバイスしていた。仮に谷垣氏が閣内などで増税見送りを黙認すれば、谷垣氏の政治生命に重大な影響が出るからだ。
今回、首相は谷垣氏を幹事長に据えたことで、党内を「財政再建派」「経済成長重視派」に分裂させる芽を早期に摘んだことにつながった。谷垣氏は幹事長就任にあたり、「首相に増税の確約をさせなかった」(谷垣氏周辺)。谷垣氏が首相のために、一方的に大きな政治リスクを背負った形だが、その分首相は増税判断のフリーハンドを得たようだ。
首相にとって、谷垣氏を幹事長に起用するもう1つの利点は、石破茂地方創生担当相による「ポスト安倍」への動きを、大幅に鈍らせられることだ。
谷垣氏は平成24年の総裁選で再出馬をあきらめ、自民党内では「次期首相への道はほぼなくなった」(閣僚経験者)とみられていた。その谷垣氏は、今回の人事で石破氏と幹事長を交代する形で復権。逆に石破氏はラジオ番組で「幹事長続投希望」と公言したミスもあり、石破氏が「ポスト安倍」レースで谷垣氏の先を進むのは、相当難しい状況になったといえる。
もっとも来秋の次期党総裁選で、党幹事長の谷垣氏が首相に反旗を翻すのも困難だ。首相は、余程のことがない限り次期総裁選を勝つ道が開けたことになる。
首相にとって一粒で何度もおいしい「谷垣幹事長」。考え抜かれた妙案に、谷垣氏の側近はこうため息をついた。
「今回の人事は、長期政権を築いた佐藤栄作級だ…」(水内茂幸)
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上の画像の総裁と並ぶ党幹部3名。お世辞にも愛国者と言える人はいません。
二階総務会長に至っては酷い媚中・媚韓派です。しかし彼は前任の同じような媚韓の野田総務会長にはない権謀術策の能力に長けています。対野党交渉は表向きは安倍・谷垣ラインで、裏交渉は二階総務会長が力を発揮するでしょう。
この重量級3人の協力を得る、つまり3人を使いこなす体制です。自民党内では誰も自分に不利に作用すると判断すれば、アンチ安倍を仕掛けてきません。
そうして堂々と安倍政権が新しく再スタートしました。
安倍総理は実に人の起用が巧みです。
今回の政権づくりは異例の長期間に亘りました。菅官房長官の留任発表から始まって、少しずつ決まっていって、焦点だった石破への対応が絵に描いたように見事に決まり、ひと安心。残された最大のポスト幹事長が気がかりでしたが、このような意図があったとは、うーんと唸ってしまいます。
佐藤栄作総理は、安倍総理の大叔父にあたります。1964(昭和39)年から1972年までの長期政権で、安保条約の改定、沖縄返還などがありました。反面、非核三原則や武器輸出三原則など余計なこともしています。
2年前に奇跡的に政権へカムバックした安倍総理、とりえずの難関をクリアして長期政権になるかもです。総裁は1期3年で、3期は今の党則が禁じています。
しかし、あと4年で憲法改正が可能でしょうか。
公明と連立しなければならないと法案も予算案も通りにくい現実があり、また自民党内を安定に保っておかないと、アンチ安倍の反逆が起こってマスコミが煽り、野党が千載一遇のチャンスと抵抗します。これまで党内反逆で潰された政権がいかに多いことか。
理想としては愛国者だけの政権が良いに決まってますが、多数を味方につけて安定した政権あっての日本です。
なお、ここで消費税についての考えを述べますと、
以前の景気が良かった時代に税率アップすべきが野党の抵抗で出来なかったものです。野田総理は景気の陰の極みのようなタイミングで(財務省から吹き込まれたのでしょうが)消費税アップを打ち出してしまいました。それを当時の谷垣総裁は、自民党の以前の政策提言との整合性から、同調してしまったのですね。
私は再増税反対です。
今回の谷垣抱き込み工作の事情が報道記事のとおりであれば、10%への増税見送りのための布石かもしれませんね。