カナダにお住いの櫛田B子さまのブログ『天晴!にっぽん』(Hatenaブログ)より転載させて頂きました。
これは元記事を分割転載しています。(上)からご覧ください。
[転載] 中国のアキレス腱と重慶に進出する日本企業(上).
(以下、転載記事)
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また、ここで始めの薄煕来の件に戻りますが、これを「中国のアキレス腱」とした、坂東 忠信氏の記事で締めくくります。
ヤフーニュース中国のアキレス腱・王立軍亡命未遂事件 (坂東 忠信) - 個人 - Yahoo!ニュース 2013年6月13日 より
中国のアキレス腱・王立軍亡命未遂事件
みなさん、こんにちは。
中国にはいろいろな政治的な事件もありますから、皆さんももうお忘れかもしれませんが、中国ではいまだに薄煕来に関する政権転覆未遂事件が取沙汰されています。
この事件、日本ではあまり大きく報道されていませんが、日本未報道の中国語ニュースを見てみると、一党独裁政権下にある中国人民にとっては、それがいかにインパクトのある重大事件だったかがわかります。
しかしこの政治問題に関心が高まると、民意が力を持ち反政府勢力として実体化し、政府を転覆したりするわけですから、共産党もこうした情報の操作、隠蔽、公開時期などにはとても気を使っています。
逆に言うと、国営の新華社や人民日報、環球時報、中国網などの政府共産党系メディアが触れない内容にこそ真実があり、逆にこれらのメディアが広報することこそが、中国共産党の望む未来の提案であり、情報操作したいあるべき民意なのです。
そして日本に伝わるのは、残念ながらこれら政府共産党系メディアが公式に報じた内容ばかり。
そこで今日は、いまだに中国の政局の話題をさらう、薄煕来に関するこの事件を、反政府系の中華メディアの報道から私なりにわかりやすくまとめてお伝えします。
難しいことはありません。むしろ映画のストーリーになりそうな展開なのですよ。
昨年2月6日に重慶副市長の王立軍が、中国共産党の仮想敵国でもあるアメリカ領事館に逃げ込むという事件が発生しました。
本来は重慶公安局(警察署)局長であった王立軍は、元大連市長で共産党重慶市書記長の薄煕来を後ろ盾とし、地元マフィアに対する強硬手段で徹底検挙・粛清を推進していました。
その警察活動のなかで、親分の薄煕来の妻で以前は大連市で弁護士だった谷開来と、この夫婦の経済面や息子の薄瓜瓜の教育面に深くかかわるイギリス人実業家ニール・ヘイウッドが男女関係を持った上に、谷開来がヘイウッドを毒殺した事実を突き止めたのです。
それを知った薄煕来は、事が自分に及ぶのを恐れて、この捜査を始めてしまった王立軍を公安局長の座から左遷、重慶市副市長の座に追いやったのですが、手下となる警察組織を失った王立軍は、それまでの高圧的な治安維持が祟って、これまで徹底迫害していた地元マフィアや地元住民から、命を狙われる危険を抱えてしまい、追い詰められます。
そこで王立軍は、女装したうえで自ら車を運転し、重慶市にあるアメリカ領事館に駆け込んで亡命を願ったのです。
但し、王立軍は手ぶらで亡命を受け入れてもらうほどバカではありません。
それまで薄煕来の片腕として知り得た数々の悪行を手土産にアメリカに接近し、身柄の安全確保を願ったのです。
ところが彼の手土産は、あまりに重大過ぎました。
彼の暴露を恐れた薄煕来は、人脈を駆使して地元公安局に身柄の確保を命じ、その身柄を江沢民派につながる解放軍参謀部(軍内の情報機関)に移送するつもりだったらしいのですが、以前から薄煕来の動きに不信を感じ情報を集めていた国務院総理の温家宝は、その下部情報機関の国家安全部(こちらは参謀部とは系統の異なる情報機関)に、王立軍の身柄の確保を命じました。
なぜなら、王立軍の奪回を目指す薄煕来の後ろ盾となっているのは、江沢民派の大物で、胡錦濤や温家宝の政敵である周永康だったからです。
政敵をつぶす揚げ足取りには最適の材料でしたが、敵に回すにはあまりにでかい存在でもありました。
アメリカ領事館側はホワイトハウスと連絡を取り、当初王立軍の亡命を受け入れるかどうかを検討したそうですが、王立軍の持ち込んだ情報があまりにでか過ぎたため、次期国家主席と目されていた習近平が、江沢民にかわいがられた太子党のトップであることや、当時国家主席の胡錦濤との関係を考慮して、王立軍の受け入れを拒否。
王立軍はとぼとぼと領事館を出てきたところ、薄煕来配下の公安局より先に、温家宝の国家安全部が彼の身柄を確保し、北京に直送。
国家安全部がその身柄を拘束し、取り調べた結果、王立軍からアメリカ側に重大な情報がもたらされていたことが分かったのです。
それこそが、日本ではまだ報道されていない中国のアキレス腱。
先日、その核心に当たる部分が、明らかにされました。
・・・と言うわけで、この続きはまた次回に。
坂東 忠信
外国人犯罪対策講師。 全国防犯啓蒙推進機構理事
宮城県出身。警視庁巡査を拝命後、交番勤務員、機動隊員、さらに刑事から通訳捜査官となり、在日中国人犯罪者・関係者の取調べにあたる。平成15年、勤続18年で退職後、県警部外通訳を経て、在日中国人犯罪の実態を描いた「通訳捜査官」で作家デビュー、現場体験と語学と情報人脈を活かし、これまでに6冊の中国問題関連本を発表。ブログやメルマガ、講演で、犯罪発生率の高い反日外国人の脅威と日本の課題を訴えている。