国が2020年度の初打ち上げを目指して開発する、新しい大型ロケットの基本性能が9日、明らかになった。
静止軌道(高度3万6000キロ・メートル)に打ち上げ可能な衛星の重さを、現在の主力ロケット「H2A」の4・6トンから、6~7トンまで向上させる。製造から打ち上げまでのシステムを効率化し、H2Aの半額の約50億円で打ち上げる。全長は国産ロケットで史上最大の約63メートルとなる。
静止衛星は近年、運用期間を延ばすため大型化する傾向にあり、H2Aでは十分対応できなくなってきた。H2Aを増強したH2Bロケットは、5・5トンの静止衛星まで搭載可能だが、実績が少なく、国際宇宙ステーション(ISS)への補給船「こうのとり」の打ち上げ以外には使われていない。
静止軌道(高度3万6000キロ・メートル)に打ち上げ可能な衛星の重さを、現在の主力ロケット「H2A」の4・6トンから、6~7トンまで向上させる。製造から打ち上げまでのシステムを効率化し、H2Aの半額の約50億円で打ち上げる。全長は国産ロケットで史上最大の約63メートルとなる。
静止衛星は近年、運用期間を延ばすため大型化する傾向にあり、H2Aでは十分対応できなくなってきた。H2Aを増強したH2Bロケットは、5・5トンの静止衛星まで搭載可能だが、実績が少なく、国際宇宙ステーション(ISS)への補給船「こうのとり」の打ち上げ以外には使われていない。
最終更新:4月9日(木)14時48分
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現在のH2Aロケットの後継となる基幹ロケットの概要がいよいよ明らかになりました。以前に関係筋から漏れ出ていた「H3ロケット」の情報と全高などでかなり異なるものです。
要は次期ロケットで何をやりたいのか、それに必要な推力はどうなのかについて、じっくりと練り直されたことと思います。
3年前に出た構想図
JAXAは科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 宇宙開発利用部会への提出資料を公表しました。
専門的ではありますが、その資料です。
新型基幹ロケットの開発状況について (PDF)
私はまず、ロケットを輸送効率の面から書き起こそうと思います。
実はロケットはあらゆる運搬手段の中で最も効率の低い物なのです。
例えばある中型トラック:車両重量が3.61トンで4.2トン積載可能です。
計算すると、自重(車輛重量)1トン当たり、1.16トンを輸送
輸送機(C-1):自重24トン、最大積載量8トン
自重1トン当たり、0.33トンを輸送
H2Aロケット(202型):ロケット重量289トン、積載衛星重量(低軌道)10トン
自重1トン当たり、0.03トンを輸送
H2Bロケットも自重1トン当たりの積載重量はほぼ同じ。
ロケットは地球の巨大な重力に抗して上昇する物なので、非常に大きなハンディがあるのです。かと言って宇宙に衛星を運ぶには現実的にはロケットによるしかありません。
だからロケットでの輸送は、コスト低減がとても大切です。
これに成功しないと、日本のロケットは商売敵であるヨーロッパのアリアンロケットに勝てません。
日本は種子島(北緯30度)から打ち上げた後に赤道まで運ぶ必要があることも、アフリカに発射基地を持つアリアンに既にハンディがあるのです。
コスト低減には、エンジン性能を上げ、機体を軽くし、組み立てを簡単にし、点検・打上げまでの人員と日数を減らすことなどが要求されます。
その為にこの次期基幹リケットには、これまでの日本のロケットの技術が全て投じられます。
H2Aロケットからは現在進行中の「高度化計画」の主な新技術として、
・第二段が飛べる時間を長くする。
・搭載の航法センサが位置情報を地上に知らせることで地上インフラの省力化。
・補助ロケットの切り離しに火薬ではなく器械式装置で衛星への衝撃低減。
H2Bロケット(国際宇宙ステーションへの輸送に使用)からは、第一段に複数のエンジンを束ねて噴射する技術。
イプシロン・ロケットからは、点検・打上げ前後の人員と日数を減らす技術です。
ほかにも、部品数を減らすことで工程期間とコストを低減します。
これらの技術で見込まれる打ち上げ費用は(構成によって異なるが)約85億円 - 120億円で、H2Aロケットの140億円 - 190億円に比べると大幅に低減されます。
ロケットの性能がアップして打上げ費用も低減できれば、外国から衛星の打ち上げ委託がどんどん来て、さらにコストダウンできます。
コストダウンで浮いた経費は、次の色んな技術の試験衛星や情報収集衛星などの拡充に使ってほしいものです。
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ところで次期ロケットのその先の先、つまり究極の宇宙ロケットですが、それは打ち上げてはその都度自分で戻ってきて何度も何度も使える再使用ロケットです。
米国のスペースシャトルは画期的ながら、壮大な失敗プロジェクトに終わりました。
回収した後の整備費用が新造より遥かに高価になってしまったのです。
おまけに二度も人命を犠牲にする大事故を起こしました。
そもそもスペース・シャトルの翼は帰還時にだけ必要で、垂直発射での離陸にはデカいお荷物に過ぎません。
日本が目指しているのは、スペース・シャトルと全く逆の方法です。
1.基地の滑走路から翼で飛行機のように飛び立ちます。
2.成層圏を超えたあたり?で、子機の宇宙機を切り離します。
3.親機(無人機)には翼があるので、自分で基地まで戻ってきて着陸します。
(これをフライバック・ブースターと呼びます。)
4.宇宙機は宇宙での仕事を終えて大気圏に突入します。
5.宇宙機は一定の高度でくるりと上を向き、噴射しながら降りてきて垂直に軟着陸します。
6.基地で親機と宇宙機を簡単に点検して、結合し、燃料を注入してまた宇宙へ。
これは一時期あったイメージ図です。実際には親機はもっと大きい物になると思います。
こちらは、これも一時期あった子機(宇宙機)の構想。
リフティング・ボディといって扁平な胴体そのものが翼の機能も果たします。
軟着陸の技術はJAXAはずっと前から持っています。
これはRVTといって誘導と軟着陸、再使用での耐久性などの基礎データを集めています。これも既に終了しました。
で、また全体像が見えてきません。
実は第一段に「スクラム・エンジン」という、これまでにない仕組みの画期的なエンジンが構想されていたのですが、この開発が高難度過ぎて目途がたちません。
従来のロケット・エンジンの改良に切り替えてほしいです。
「スクラム・エンジン」はさらにその後でも十分にOKです。
まずは予算を増やさないとね。
アメリカももちろん新規の再使用ロケットに兆戦しています。
ファルコン社が発射したロケットを垂直着地させる実験です。この動画ではうまくいっていますが
実際にISSに物資を輸送した後のロケットを軟着陸させようとした実験は失敗。
危険なので洋上の無人船上に帰還させる実験ですが、減速不十分で激突しました。
Falcon 9 first stage landing burn and touchdown on Just Read the Instructions https://t.co/4Te0BfT2Qn