「北関係者への巡視船売却禁止を」 拉致被害者家族
第10管区海上保安本部(鹿児島市)が、退役巡視船の航跡データが消去済みか確認せずに在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部が経営する解体業者に売却した問題に関連し、拉致被害者の家族が30日、北朝鮮と関係のある人物に巡視船などを売却しないよう政府に要請した。
福岡市で開かれた「救う会」の集会に同日、市川修一さん(拉致当時23歳)の義姉、龍子さん(67)(鹿屋市)が参加。夫で修一さんの兄、健一さん(68)の代わりに、来賓の古屋拉致問題相に要望を伝えた。
龍子さんは「海上警備の徹底と拉致問題の解決を急いでほしい」とした上で、▽朝鮮総連関係者に対する退役巡視船と機器類の売却禁止▽他の海保の巡視船売却に関する実態把握――などを求めた。古屋拉致問題相は「問題はよく承知している」などと述べるにとどまった。
海上保安庁は今回の問題発覚後、航跡の消去を徹底するよう各本部に通知する一方、退役巡視船の売却自体は「問題ない」としている。
山田吉彦・東海大教授(海上安全保障)は「近年は性能が向上した高速巡視船が配備されている。巡視船の機器類の性能を第三者に特定されることは海上警備上、問題だ。高性能の巡視船が退役する前に対策を講じるべきだ」と指摘する。
(2013年7月1日読売新聞)
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これはかなりマズい問題です。
A海域からB海域まで何分で航行したかという事などいろいろ解析されてしまいます。
巡視船の性能は、近年はマニア向けの雑誌でさえ例えば「30ノット以上」というような表現しており、重要な秘密です。
幸いにして旧式の退役船ですが、しっかりとデータが渡ってしまったと見てよいでしょう。
操舵室の機器類は壊さなくていいのでしょうか?
巡視船の解体を写真で確認するだけでいいのでしょうか?
そもそもどうして北朝鮮系の業者が退役巡視船を求めたのでしょう?
事例があります。
昔、ソビエトの空母「ワリャーグ」はソビエト崩壊によってベラルーシュに引き継がれたあとに退役しました。火器や無線類を撤去したのは当然ですがエンジンまでを壊し、配線をズタズタにしたあと、香港の業者から海上カジノにしたいということで曳航されてゆきました。
これが大連で大改修を受けて中国の空母『遼寧』として生まれ変わったのです。
日本人から見たらオンボロ船でも、船体がもし朝鮮に渡ってしまえば「宝」です。今後は何度も解体の現場に行って、直接確認しなければなりません。
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第10管区海上保安本部(鹿児島市)が一昨年、退役した巡視船を売却処分する際、航跡保存装置のデータを消去済みか確認しないまま、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の地方組織の幹部が経営する解体業者に引き渡していたことがわかった。
航跡データが実際に残っていたかどうかは不明だが、10管本部は「海上警備上、あってはならないことだった」としている。こうした問題を受け、海上保安庁は今年2月、船舶売却の際は航跡データの消去を徹底するよう、各管区に通知した。
この巡視船は日向海上保安署(宮崎県日向市)に所属していた「たかちほ」(106トン)。10管本部が読売新聞の情報公開請求を受けて開示した資料では、1988年1月に進水し、23年間稼働した後、2011年に退役した。鉄くずとして売却されることになり、同年8月の入札で、鹿児島県の解体業者が264万円で落札した。
10管は、無線機や銃器を撤去して業者に同船を引き渡したが、航跡を表示・保存する装置は操舵(そうだ)室に残したままだった。業者は日向市から鹿児島県内の港まで、小型船2隻で引航。その後、11月までに解体したという。業者は解体後の写真を添えて、10管に解体済みの証明書を提出している。
(2013年4月26日07時18分 読売新聞)