愚妻がつけていたテレビで朝ドラをやってました。
よく知らないのですが、今日はまだ幼いヒロインが豪商のボンボンの嫁にされてしまうというお話らしい。
迎えた豪商の邸で、そのボンボンにヒロインは好感を持ちません。
その表現として、何んとボンボンに附随意運動をさせていました。
実話を朝ドラにしたとかで、史実がどうだったかは知りません。
嫁を迎える大切な場なのに、ボンボンはニコリともせずに不随意運動。
これは許せません。不随意運動は、意思とは関係なく体が動きます。
「いやな奴」を表現するために不随意運動をさせたのでしょうか。
カメラはその顔から上がって部屋のかもい(だったか)を写します。
そこには能面が飾ってあって、ボンボンの顔を表現します。
かもいなどに能面を飾るのは聞いたことありません。
普通は能面は、見る人の視線の高さに飾ります。
能のストーリーが展開していって、嬉しい場面も悲しい場面も、
能面はこれら感情を1つの面で表現しなければなりません。
面を着けた能役者は、嬉しい場面では、僅かに上体を起こします。観客は面を僅か下の角度から見て喜びを感じ取ります。
逆に悲しい場面では、能役者が僅かに上体を伏せます。観客は面を僅か上の角度から見て悲しみを感じ取ります。
この表現が出来る能面は優れた作品です。豪商ならきっと凄い面を飾っていたでしょう。
博物館などで、展示されている能面に出遭ったら、試してみてください。
ちょっと背伸びをしながら見たり、僅かに屈んだ姿勢で見比べたら体験できます。
面打ち(面を彫ること)した職人が、どれほど苦労して作品を創り出したかを想いやることが出来ます。
我々は「能面のように」と聞けば、無表情をいうように関連付けられています。
でも本当は能面は多くを表現しているのです。
能は日本が世界に誇る仮面劇です。