宇宙の謎解明なるか? 「重力波」検出目指す観測施設「かぐら」が岐阜に完成 アインシュタインが存在予言
公開された巨大重力波望遠鏡「かぐら」の一部=岐阜・飛騨市
宇宙から届く謎の「重力波」の検出を目指す東京大宇宙線研究所の観測施設「KAGRA」(かぐら)が岐阜県飛騨市神岡町の地下に完成し6日、報道陣に公開された。
重力波は非常に重い天体が激しく動いたとき、重力の影響で空間にゆがみが生じ、それが波のように遠くまで伝わっていく現象。アインシュタインが相対性理論に基づき約100年前に存在を予言したが、直接観測した例はない。
かぐらは長さ3キロのトンネルをL字形につなげた構造で、中心部からレーザーを2方向に同時に発射。重力波が届くとトンネル内の空間がゆがんで伸縮し、レーザーが鏡で反射して戻ってくるまでの時間にわずかな差が生じるのを検出する。振動が少ない地下200メートルに建設した。総工費は155億円。
今年度中に試験観測を開始。追加工事を経て平成29年度に本格観測に入れば、1年以内に重力波を捉えられるという。世界初の観測に成功すれば、ノーベル物理学賞の受賞が決まった梶田隆章氏が素粒子ニュートリノの質量を発見したスーパーカミオカンデに続き、神岡の施設群で3つ目のノーベル賞が確実とされる。
ただ欧米も類似の施設で観測を目指しており、競争は激しい。同研究所の三代木伸二准教授は「人類初の観測をぜひ実現したい」と意気込む。
重力波の観測は光やX線などでは捉えられなかった天文現象や、宇宙誕生時の謎の解明に役立つ。かぐらを統括する同研究所長の梶田氏は「神岡の地から新たな研究分野が生まれるような成果が出てほしい」と期待を込める。
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■重力波 非常に重い中性子星同士の合体やブラックホールの誕生、超新星爆発などの際に空間のゆがみが生じ、減衰することなく周囲に伝わっていく現象。中性子星の観測から、その存在を間接的に証明した米国の研究者が1993年にノーベル物理学賞を受賞した。約138億年前に宇宙がビッグバンで誕生したときにも発生しており、その名残を捉えれば原始宇宙の解明につながる。
重力波望遠鏡「かぐら」の想像図(東大宇宙線研究所提供)
むかしアルキメデスはお風呂に入ったとき、(後世の人の脚色かも知れませんが)湯船から溢れるお湯を見て、アルキメデスの原理を思いついたといいます。
ガリレオはピサの斜塔から金属製の思い玉と軽い玉を落として、地面到達までの時間が同じだという大発見をしました。
現代の物理学は湯船や塔では役に立ちません。かなりの規模の装置を必要とします。
スーパーカミオカンデは見事にノーベル物理学賞をもたらしました。
「重力波」はアインシュタインが予言したものですが、その存在を「ほらね」と実際のデータで証明すること。それは層の厚い日本の物理学の学者らの悲願でもあります。同時に国民にとっても科学技術に投資し、未解明の事象にチャレンジする科学立国は誇りです。
アインシュタインは日本に招待された際に、船の進路の瀬戸内海の美しい島々に感動し、日本人の暖かい心に感動し、車窓から見る富士に感動し、東京で歓迎する大群衆に感動し、そのあと講演などで各地を廻ってすっかり日本びいきになりました。
もしアインシュタインの魂がこのニュースを知ったら、どんなに喜ぶでしょうか。
「かぐら(KAGRA)」とはKAMIOKA GRAVITATIONAL TELESCOPE(神岡重力望遠鏡)の略です。
レーザーは日本の得意分野です。科学への希望とこれを支える優秀な技術が両立してはじめて可能なことですね。
この起工があった2012.02に記事を出しました。当時は民主党の「仕分け」がスパコンなどを次々やり玉に挙げていた時で、起工してしまったお蔭で災難を逃れたのかもしれません。