今回の29号機がこれまでのH2Aロケットとは大きく進化している点について、先日の記事で詳しく書きました。
例えれば、運送屋が重い荷物を部屋の中まで運び入れてくれるようなものです。
静止軌道まで衛星を届ける今回のロケット技術は通信衛星や放送衛星などの打ち上げに有利です。
初の商業衛星、軌道に乗り成功 日本も本格的に市場参入へ
カナダの通信放送衛星を搭載したH2Aロケット29号機が24日午後3時50分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。衛星は同8時17分ごろに予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。国産ロケットが商業衛星を運んだのは初めてで、日本は商業打ち上げ市場への本格参入を果たした。
H2Aの打ち上げ業務は平成19年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)から三菱重工業に移管。同社は顧客の衛星を軌道に運ぶ商業打ち上げの事業拡大を目指してきたが、実績が豊富な欧州やロシアに後れを取っており、今回の成功は大きな一歩となった。
三菱重工業は韓国政府から受注した衛星を24年に打ち上げたが、商業目的の民間衛星は初めて。衛星運用大手テレサット社の大型静止衛星で、南米、欧州などの通信・放送事業に使われる予定。打ち上げは警戒区域内で船舶が確認された影響で当初より27分遅れた。
29号機は性能を高めた改良型の機体を初めて採用。2段エンジンを3回噴射して従来型より約4時間長く飛行し、衛星を静止軌道の近くに投入した。H2Aは23回連続の成功で、成功率は96.5%に向上した。
高度化の実施がまだ1点残っています。
衛星を分離するのに、これまでは火薬でドカンと切り離していたのを機械式に改めて衛星への衝撃を低減します。
これは次の30号機で実施され、積荷はX線天文衛星「ASTRO-H」です。
なお、念のために付け加えておきますが、H2Aロケットは今後全部が改良型になるわけではありません。低軌道(普通の軌道)へ打ち上げる場合は、第二段の複雑な機構は単にコスト高になるので従来型を使うようです。