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米国で進む遺伝子情報基にした個別化医療 「日本は旧態依然の体制で取り残されている」中村祐輔シカゴ大教授が警告

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やはり産経は立派だと思います。
日本の将来について「国」という視点からしっかり見据えている。文化でも科学でもしっかりした記事が多いですね。
日本は科学技術の国だと思っていても、慢心すると簡単に中進国になってしまいます。科学好きのブログ主として、誇るものは大いに誇ると同時に、警鐘もじゃんじゃん鳴らします。

【産経Health】米国で進む遺伝子情報基にした個別化医療 「日本は旧態依然の体制で取り残されている」中村祐輔シカゴ大教授が警告

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日本人類遺伝学会で大会長を務めた稲澤譲治・東京医科歯科大教授(左)と握手する中村祐輔教授=10月、東京都内

東京医科歯科大・稲澤教授「適正な応用へ研究邁進」
 遺伝医学の世界的な権威である米シカゴ大医学部の中村祐輔教授(個別化医療センター副センター長)は先に開かれた日本人類遺伝学会で講演し、「米国はゲノム(全遺伝情報)に基づく個別化医療が急速に進んでいるのに対し、日本だけが旧態依然の体制で取り残されている」と表明した。米国の最先端医療を知る中村教授の問題提起を日本の医療界はどのように聞くだろうか。(大家俊夫)

◆米大統領が個別化推進
 今年で60回を数えた人類遺伝学会は稲澤譲治・東京医科歯科大教授を大会長に10月14~17日まで東京都内で開催された。一時帰国した中村教授の講演は「プレシジョン・メディシン時代 これでいいのか、日本の遺伝子診療」と題して行われた。中村教授は『これでいいのか、日本のがん医療』(新潮社刊)を著しており、今回はその流れで新たな持論を展開した。
 中村教授は講演で、「プレシジョン・メディシンとはゲノム情報を基に個々の患者さんの病気の性質に合わせて治療する個別化医療を意味する。オバマ米大統領が今年、『プレシジョン・メディシン・イニシアチブ』を発表し、全米を挙げて推進されている」と解説した。

 中村教授によると、米国の場合、ゲノム情報を生かした医療が急速に広まっている。がんの治療に関しては「がんのリスクを予知して予防・早期治療につながるだけでなく、がんの治療薬の選択、意味のない薬剤投与の回避、画像では見つからないような段階でがんの転移や再発などの発見、新規のワクチン開発にも効果が見え始めている」と述べ、米国ではがん医療の選択肢や可能性が広がっていることを強調した。

 そうした米国ではシカゴ大だけでも年間約200件の臨床試験が新規に実施されており、患者に常に新しい希望を与えている。一方、日本では「がんの標準治療という名の下で、マニュアル医療がまかり通っている。保険適用の治療法や薬が尽きると、無慈悲にも余命宣告が行われることもある」と現状を憂慮。ゲノム情報を軽視するだけでなく、医療の基本姿勢にも差が出ているという。

 ◆戦略をもって対応を
 日本では一部の医療機関で乳がんへのかかりやすさを調べるための遺伝子検査が始まっているが、医療界全体ではゲノム情報をどう活用するか、コンセンサスは得られていない。
 中村教授は「20世紀は『病気の治療』(メディカルケア)を確立し、21世紀は『病気の予防・重症化予防』(ヘルスケア)にシフトしている。患者にもメリットがあり、医療費も抑制できる」と指摘。その上で、「米国だけでなく、中国もゲノム情報の大切さに気づき、研究体制を整えている。日本も戦略をもって対応しないと世界から取り残される」と警告した。

 同学会のテーマは「ゲノム情報をとおして人々の幸せに貢献する」と掲げられた。大会長の稲澤氏は東京医科歯科大の難治疾患研究所でゲノム情報を基に新しい治療法やヘルスケアに向けた研究を推進している。稲澤氏は「中村教授の言葉を日本へのエールと受け止めたい。日本での医療応用が適正に実施されるよう研究に邁進(まいしん)したい」と語った。

【用語解説】プレシジョン・メディシン(Precision Medicine)
 オバマ米大統領が今年1月の一般教書で使うなど米国で急速に普及しつつある。直訳すると「精密な医療」になるが、米国では個々のゲノムの性質を考慮して医療を行う「個別化医療」の意味で使われている。従来あったオーダーメード医療の発展型ともいわれる。





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