読売2016年02月04日 18時22分http://www.yomiuri.co.jp/science/20160204-OYT1T50041.html?from=ycont_top_txt
核融合実験装置、心臓部などを公開
日本原子力研究開発機構那珂核融合研究所(茨城県那珂市)は3日、組み立て中の核融合実験装置「JT―60SA」の内部などを報道陣に公開した。
装置は、強力な磁場と電流でドーナツ状の真空容器内にプラズマを閉じこめ、核融合に必要な高温を生み出す研究に利用される。日本と欧州の共同プロジェクトで、2019年の実験開始を目指している。
この日は、装置の心臓部となる真空容器の内部や、加熱装置を冷やすための覆いなどが公開された。
同研究所は「核融合は次世代のエネルギーとして期待されている。先端技術を結集して取り組みたい」としている。
風力や太陽光は規模の面でも効率の面でも、今のエネルギーの本格的な代替にはなり得ません。
地熱や潮流エネルギーの利用なども開発すべきではありますが、これらもやはり限局されます。自然エネルギーの利用はコストが高く、環境の破壊など、いろいろな代償が必要な割には得られるエネルギーが余りにも小さいです。
油を産生する藻やホンダワラからバイオアルコールを得る構想なども一時は注目されましたが、まだまだですね。
他にもいっぱい候補がありますが、どれも地道であってもコツコツ研究を続けてほしいものです。
さて本格的な次世代のエネルギーとして、原発の改良型、水素などいくつかありますが、今日は「核融合」の話を書きます。
核融合では、重水素や三重水素(トリチウム)を合体させてヘリウムにし、その時に発生する熱を利用します。
核融合のいくつかの方式のうち、トマカクというロシアで原理が考案された方式と、アメリカや大阪大学が研究している慣性核融合の二つの方式が先行しています。
そのうちのトマカク方式での核融合です。
長々と説明書きを書いていますが、日本のエネルギーの根幹となる重要な位置付けを分かって頂きたい気持ちからです。
実は日本はこれまでに「JT-60」という研究装置で世界をリードして華々しい成果をあげています。
報道記事にある「JT-60SA」は「JT-60」の改良・拡大型です。
なお、記事中に「プラズマ」という語が二度も出てますので、私流の説明を。
電車に例えると、固体はぎっしり満員で乗り降りも出来ない状態。
液体は電車の普通の状態。気体はガラガラに空いていて自由に移動できる状態で、さらにプラズマとは、裸(原子核と電子が乖離)になってワーッ!と走り回って激しくぶつかり合っている高エネルギーの状態です。
このプラズマを「JT-60」で既に28秒間持続させるまで研究が進んでいます。
でもまだまだ実用にはなりません。核融合をより長い時間持続させ、そして装置に投入するエネルギーと発生するエネルギーの比をぐんと良くしなければなりません。
プラズマの体積を2倍にする設計のこの「JT-60SA」での研究が待たれます。
参考サイト:『誰でも分かる核融合のしくみ』