【目覚めよ日本力 次世代技術】 (6)
藻から燃料 高品質…目指せ「産油国」
原油価格の高騰や地球温暖化が進む中、石油に代わる再生可能エネルギーとして小さな藻類が脚光を浴びている。藻が作る高品質の油を航空機のジェット燃料などに活用しようと研究開発が進行中だ。大量培養で安価に生産できれば、資源に乏しい日本が「産油国」になれるかもしれない。
微小藻類には、石油とほぼ同じ成分の油を作り貯蔵するものがある。バイオ燃料の原料となるトウモロコシなどと違い、藻類は食糧需要と競合しない上、面積当たりの生産量が陸上植物に比べ桁違いに多い。国土の狭い日本にとって利点が多く、実用化を視野に入れた動きが加速している。
筑波大の渡辺信教授らは4月、仙台市の下水処理施設に実験拠点を開設し、生活排水に含まれる栄養分で藻を育て油を抽出・精製する研究を始めた。施設は東日本大震災で被災しており、地域の復興につなげる狙いもある。
研究には光合成を行う緑藻のボトリオコッカスと、渡辺教授らが沖縄県で発見したコンブの仲間のオーランチオキトリウムという2種類の藻を使う。
ボトリオコッカスは下水に含まれる窒素などの無機物を肥料にして育てる。細胞外に油を分泌する珍しいタイプの藻で、抽出が容易なのが利点だ。一方、オーランチオキトリウムは油の生産効率が世界トップクラス。光合成をせず、汚泥などに含まれる有機物を与えて培養する。
平成28年度まで実験し、大量生産や効率化の手法を探る。藻から作る燃料の生産コストは現在、1リットル当たり500~1500円程度とガソリンよりもはるかに高いが、渡辺教授は「まず1リットル当たり200~400円程度まで下げたい」と話す。
光合成を行うミドリムシから油を作る研究も進む。東大発ベンチャーのユーグレナ(東京)は油の生産性が高いミドリムシを発見、JX日鉱日石エネルギーなどと共同でジェット燃料の開発に取り組んでいる。
藻類から油を作る研究は米国が先行しているが、日本は培養や抽出・精製で高い技術力を持つのが強みだ。経済産業省は42年までの実用化を目指して研究開発を後押しする。
大量培養の技術革新や生産性の高い新種の発見などで、最大の課題である生産コストを引き下げられれば、産油国への仲間入りも夢ではない。(黒田悠希)
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藻から油を採る研究も日本らしい研究です。
スターが沢山の応募者の中からオーディションで選ばれるのと似ています。随分多くの種類の生物から、スクリーニングによってこれまでにスーパースターが2名誕生しています。
それがポトリオコッカスとオーラン・チオキトリウムです。
もしかして今後もっと凄いスターが登場するかもしれません。
エネルギーはムードで走っては偏ってしまい、安全保障として弱点をさらしてしまいます。
特に風力や太陽光は風の吹くまま、日の照るままに任せなければならない頼りないエネルギーでとても基幹エネルギーになり得ず、トータルで見て結局は無駄な投資です。
メインはあくまで原発、次に火力、そして新エネルギーの布陣でなければなりません。
新エネルギーには地熱、バイオマス、水素、メタンハイドレート、海洋温度差、宇宙太陽光、核融合、まだまだあります。
これら各種新エネルギーの同時進行の開発は一見無駄に見えて、
そうではないです。
なぜなら、開発リスクを分散し、また新規の技術はそこから関連した別の新技術の開発に繋がるからです。