陸奥掃部助さまのブログ『皇国の興廃懸りて原子力にあり』より転載させて頂きました。
(以下、転載記事)
月刊Wedgeという雑誌があって、偶に新幹線の車内などで読むんだけど、結構良い記事を書いていると思う。
そのweb版がWedge infinithyなんですが、以下に面白い事を書いています。
考えてみれば当たり前の事で、新電力の実態とはこんな物なのでしょう。
新電力-身ぐるみはがせば東京電力 電力自由化が低調なワケ
Wedge 4月28日(木)12時20分配信
![新電力-身ぐるみはがせば東京電力 電力自由化が低調なワケ](http://amd.c.yimg.jp/amd/20160428-00010003-wedge-000-1-view.jpg)
4月1日午前10時。まだ家族連れもまばらな二子玉川駅で、東京急行電鉄の子会社東急パワーサプライは、電力自由化スタートの記念イベントを開催した。同社は「東急でんき」のブランド名で電力小売りに参入している。壇上に立った村井健二社長は「電気サービスを選べる時代が到来した。東急線沿線が住みたい沿線日本一になることに貢献したい」と力強く語った。
以下要約します
鳴り物入りで始まった電力小売り全面自由化だが、乗り換えたのは68万軒。最も乗り換えが多そうな首都圏でも全世帯数の2%である43万軒に留まっている。
福島原発事故を契機に「電力システムの抜本的見直しが国民に求められている」(枝野)として民主党が画策した電力小売り自由化だが、意外に低調だ。
その中でも気を吐いていそうなのが東京ガスとJXエネルギーだ。しかし、東京ガスは2017年に始まるガス自由化に向けてユーザーの囲い込みが主目的だ。
実は東京ガス以上に天然ガスを使っているのが東京電力だ。自由化されてガスを小売りできるとなれば必ず東電が参入してくる。扱っているガスの量から考えると東京ガスのライバルは東京電力になる。
だから今の内に顧客を囲い込んでおこうと思っているだけで、電力小売りは儲からなくても良いと考えている。
JXエネルギーは自社のガソリンスタンドの客を逃がさないために参入しているに過ぎない。
この2社は自社電源を持っている。
では、自社電源を持っていないか少ない所はどうなのか。
東京急行電鉄がやっている「とうきゅうでんき」は東急電鉄域内の顧客を囲い込んで、ケーブルテレビやハウスカードや電車賃などのセット販売を考えている。
沿線には富裕層が多いから、エコ意識の高い?主婦層に食い込みたいようだ。
ソフトバンクでんきは一応自社でのメガソーラーは持っているものの、東京電力と組んだ。
それはつまり、東京電力の代理店になっただけで、携帯電話の顧客を囲い込むのが目的だ。
「電力販売はそんなに儲かる事業では無い。解約率を低減させるために他の携帯会社に負けないメニューを提示するのが目的だ」と馬場一執行役員は言っている。
東急電気にせよソフトバンクでんきにせよ、自社で発電所を作る気はない。
自由化によって将来の電力需要が見通せなくなったためだ。
>「電力大手10社の発電能力は震災前の設備ベースで約2億kW強。約3500万kWの原子力を全て止めても、ぎりぎり夏のピーク需要を賄えるくらいの供給力を持つ。それに対して新電力の供給力は1000万kW台とみられ、全くレベルが違う。小売に参入した新電力は、不透明な自社電源開発には参入せず、そのうち再稼働する原発の安い電力を電力大手から調達すればいいと考えるのが普通」(関係者)
↑これが本音だ。
原発の電気を使いたくないという脱原発猿は、電気ナシの生活を送る覚悟をしておいた方が良いぜwww
東急でんきには、東電から出向している社員がいるらしい。
ライバル会社からの出向社員を受け入れるのは普通考えたらあり得ない。だけれども、親電力の魂を売ってまでも、東電と良好な関係を築いて置きたいらしい。
要するに供給を絞られたら拙いと考えているんでしょう。
東電にしても、原発事故で人気が無いからある程度顧客は取られるものとして、どうせ取られるなら新電力とパイプを作っておいた方がいいという判断なのでしょう。
何のための自由化だったのでしょう?
これから起きる事ははっきりしています。
ピーク時の電力を負担するバックアップ電源に投資する会社は無いという事です。
それは欧州やアメリカですでに起こっています。
アメリカでは発電所を買い取った会社がピーク時に電気を供給しなかったからカリフォルニアの大停電が起きています。
ドイツでは再生可能エネルギーを優先的に使うために、新型のガス火力発電所が倒産の危機です。
ピーク時に合わせた電源は稼働率が低く商売にならないからです。
そうなっては困りますから、ドイツでは自由化に逆行するようにピーク時の発電所に税金が投入されています。
ドイツ国民はFIT付加金と税金を二重に取られているって事です。
アメリカではエンロンという会社が台頭してやりたい放題やりました。
温暖化政策も足を引っ張ります。
FITで買い取られた再生可能エネの電気と原発の電気が優先的に使われ、石炭火力・石油火力・天然ガス火力への投資は行われなくなります。
バックアップ電源は稼働率が低くて商売にならないのですから、投資しようなんて人は誰も居ませんね。
それで電気料金は下がるのかといえばFITがある限り下がる事はあり得ません。
経産省は自由化の目的を電力市場の活性化と言っています。
だから目的は電気料金の値下げではないと言い逃れる気です。
電気を公正な取引を監視するのは本当なら公取委ですが、経産省は電力ガス等取引監視委員会を作っているのですから、経産省の権力を拡大したと言うだけの話です。電力広域的運営推進機関もそうです。
得をしたのは国民では無く経産省ですね。
脱原発しても電力市場を自由化する事によって競争原理が働くから電気料金は下がると言っていたことなど忘れた振りをしているのでしょう。
原発事故と電力自由化は直接関係ないのですが、馬鹿な民主党政権がうまうまと経産官僚に乗せられて人気取りのために始めた=経産官僚の意図に気が付かなかったと言えるでしょうね。脱原発猿も頭が悪いからそんな事は解るわけありません。
電力小売り全面自由化は経産官僚を太らせただけで、国民には特に良い事は無かったのです。
新電力は原発の電気を当てにしています。そうじゃなければ値段は下げられません。
これから発送電分離もスケジュールに入っていますが、原発を持っている発電会社が圧倒的優位になるでしょうね。
原発を動かして被害を最小限に留めるか?
猿のままで大規模停電や電力料金上昇を受け入れるか?
ここが地獄の一丁目だぜ