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[関西発信] 人類も救えるか、近畿大の完全養殖クロマグロ技術 「海を耕せ」65年かけ開発…水産資源枯渇に挑む

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「近大マグロ」に食の未来を見た
2013.4.30 16:30(産経)ベテラン記者コラム
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「近大マグロ丼」などを味わえる養殖魚の専門料理店=26日午前、大阪市北区のグランフロント大阪・ナレッジキャピタル
 

【ビジネスの裏側】
人類も救えるか、近畿大の完全養殖クロマグロ技術 「海を耕せ」65年かけ開発…水産資源枯渇に挑む

2013.4.28 18:00(産経)特許・商標・著作権
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完全養殖の近大マグロ
 近畿大学が世界で初めて完全養殖に成功したクロマグロを提供する専門店が26日、大阪・うめきたの複合ビル群「グランフロント大阪」にオープンした。大阪最後の一等地に店を構え、国内の大学の初の直営店事業として注目を集める。飽食の時代に外食産業に乗り出した近大だが、その水産研究の原点は、戦後の食糧難への対応を目指す「海の畑」構想。そしていま、視線の先に世界的な水産資源の枯渇への挑戦という壮大なテーマを掲げている。
 

大学直営店賑わう
 店名は「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」。運営はサントリーのグループ会社が担当しており、個室とカウンター席など合わせて約100席は開店以来満席が続き、約40席の予約席は5月いっぱいまでほぼ埋まっているという。
 クロマグロをはじめ、シマアジやヒラメなどを使った刺し身や煮付けなどの料理を振る舞うのが売り。価格面では稚魚を獲って育てる一般的な養殖マグロより2~3割高いが、近大の完全養殖マグロを使った料理には「卒業証書」が添えられる趣向も人気。訪れた客は「脂がのっておいしい。養殖魚の味がおいしいことがわかった」「近大のマグロには興味があったが、身近に味わえる場所ができてうれしい」と話す。
 
 今後はマグロ料理の拡充するとともに、近大で養殖するチョウザメやキャビアを使った料理の提供も考えているという。養殖を手がける近大の水産養殖種苗センター大島事業場の岡田貴彦場長は「味と安全性にこだわった養殖魚を通して天然魚崇拝の風潮を変え、魚食文化の広がりにつなげたい」と意気込んでいる。
 

原点は初代総長の鶴の一声
 近大の水産研究の歴史は食糧難だった戦後にさかのぼる。初代総長の世耕弘一氏は、敗戦で国土が狭められた日本で食べ物を確保するためには農産物の増産では足りないと考え、「海を耕せ!」と号令をかけたのだ。海を水産資源を生産する畑と位置づけ、魚を養殖する技術の研究を本格化させるという構想だ。
 
 この初代総長の考えに基づき、昭和23年に和歌山県白浜町に設立されたのが水産研究所(当時=臨海研究所)だ。もちろん初めての試みだっただけに失敗の連続。大学の財政を圧迫する事態になり、研究からの撤退を提案する声も上がり、宮下盛所長は「当時の関係者が『不可能ともいえるプロジェクトだった』と述懐するほど困難を極めた」と打ち明ける。
 それでも近大は研究をやめることはなかった。そしてハマチの養殖に成功し、マダイやカンパチなど高級魚の養殖を次々と実現。クロマグロの完全養殖を成し遂げたのは平成14年。昭和45年に研究に着手してから32年の歳月が経っていた。
 
 デリケートな魚で、生態もよく知られていなかったため、当初は水槽の壁に衝突死する問題などに悩まされたが、研究の過程で適切な飼育環境が分かってきたことで養殖の手法を確立していったという。
 完全養殖したクロマグロは「近大マグロ」の商標で大学発のベンチャー企業から販売され、今や売上高は年間約28億円。宮下盛社長は「産業化が見えてきている」と自信を深めている。
 

完全養殖はセールスポイント
 クロマグロはマグロのなかでも最大で、大きなもので全長3メートル、体重500キロまで成長する。味が最も良く、高値で取引されているため「海のダイヤ」とも呼ばれる。このため近年は乱獲により個体数が減少し、世界的に捕獲量の削減措置が議論の的になっている。
 クロマグロは養殖魚も大量に出回っているが、通常は天然の稚魚を捕獲して育てる手法のため、稚魚の乱獲が進めば、結局は養殖魚も減少していくことが予想されている。
 
 その点、完全養殖は人工ふ化した稚魚を成魚に育て、その成魚から採卵、さらに人工ふ化させて次の世代を生み出していく技術。このため、完全養殖の技術を確立すれば、天然資源に頼らず、すべてのプロセスを人の手で管理することができる。
 
 大学関係者は「日本では魚は天然モノが重宝されるが、牛肉も食用のため飼料などを工夫して育てた肉牛が、野牛よりおいしいに決まっている」と強調。その上で「どこで生まれ、どこで育ったかを完全に把握できる完全養殖モノは食の安全性の観点でも世界にアピールできるセールスポイントだ」と自信をみせる。
 
 完全養殖はクロマグロに限らず、希少種の大量生産を可能にし、天然モノの乱獲による水産資源の枯渇を防ぐ技術だ。世界的な人口増加で将来的に予測される食糧難に備え、60年以上にわたって“海を耕す”研究を続けてきた真価がこれから問われそうだ。
 
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この近大ではなく、他の研究機関だが、ウナギも完全養殖を目指している。ウナギはその稚魚のシラスウナギを中国までも加わって乱獲したことが災いして絶滅が危惧されているが、ギリギリなんとか間に合いそうです。
水産業の新しい扉は、これからは全て日本が開きます。

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