産経 2016.9.7 16:56更新 http://www.sankei.com/politics/news/160907/plt1609070021-n2.html
福島を新エネ産業育成のモデル拠点に 風力発電整備や水素製造など構想
政府は7日、福島市で官民会合を開き、新たなエネルギー産業を育成し、モデル拠点とする「福島新エネ社会構想」をとりまとめた。構想には風力発電の送電網の増強や、再生可能エネルギーを使った大規模な水素製造などが盛り込まれた。会合は年1回程度で継続され、福島の復興を後押しする。
会合には各省庁や県、民間企業の担当者が出席し、官民連携の重要性を再確認。高木陽介経済産業副大臣は「復旧や住民の帰還はマイナスからゼロにすること。新エネルギーでプラスにしていく。福島から新しい流れを起こし、『福島は元気だ』といわれるように一丸となる」と述べた。
構想では、再生可能エネルギーの導入拡大のため、阿武隈山地と沿岸部の風力発電の送電網を増強。風力・太陽光発電事業者、東京電力、東北電力が送電施設を運営する事業体を新たに設立する。来年度中に設計を終え、増強工事に着手する計画。
また、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに、世界最大の1万キロワット級の再生可能エネルギーを用いた大規模な水素製造を実現。輸送、貯蔵技術を組み合わせた利用システムを確立し、福島でつくられた水素を東京五輪で活用するとした。事業を具体化するため、今年度中に有識者や民間企業などでつくる検討会を設置する。
政府は来年度の概算要求には省庁にまたがる総額754億円の関連予算を盛り込んだ。このうち、次世代の水素輸送、貯蔵技術など水素供給網を構築する実証に55億円が充てられるなど、水素エネルギー関連に194億円。風力発電施設の送電網を増強に100億円など、再生可能エネルギー導入拡大には464億円が計上されている。
風力発電の功罪については、ずっと前から関心があったのですが、東日本大震災と原発事故が起こったことで、「自然エネルー」への憧憬も加わって世論の暴走が始まってしまいました。これに警鐘を打ち鳴らそうとしたのが私がブログを始めた動機のひとつです。
不慣れなブログ造りながら頑張って記事を作ったものです。
風力発電のイメージに騙されるな (2012年2月)
残念ながら無知なマスコミや脱原発派に煽られて、日本は適切なチョイスが出来ませんでした。
日本中に回らない風車、強風で壊れた風車、採算がとれない風車、低周波で住民を苦しめる風車が一体どれくらい出来たでしょうか。無駄な修理とメンテが税によって行われて、地方財政を圧迫しています。
ヨーロッパの風車に憧れる気持ちは分からないでもありません。
でもまずは基本的な認識をしっかりと持つことが必要です。
西欧の風と日本の風の違いです。
西欧では偏西風がほぼ一定の方向、一定の強さで吹いているのに対し、日本の風は風向きも強さも常に変ります。無風の時も多いです。台風もやってきます。
日本では台風がまず来なくて、風量もある地域は東北から関東にかけての太平洋岸だけです。そうです。福島はこの条件に限ってはOKです。
でもまだまだあります。
山地に風車を設置する場合は平地よりかなり高コストだし、
水素産生まで加えるとコスト試算も簡単ではない。
福島を「新エネ産業育成のモデル拠点」とするという考えは全く間違っています。
「福島の特異な立地を生かした風力発電」なら熟考の上に慎重にやるべきです。
疑問点 報道記事では来年度にいきなり「設計」から始めるようですが、その前に、
1.山岳地に風車を設置するのは、基礎工事も大変で、コスト高になります。
2.阿武隈山地の野鳥との兼ね合いは問題ないのでしょうか。
3.同じく景観との兼ね合いは問題ないのでしょうか。とても目立つ場所になるでしょうが。
4.沿岸の風車は、将来の津波災害を避けるために住民が立ち退いた跡地利用でしょうか。だとすると、高台の新居住地と風車との距離から低周波は問題ないでしょうか。
5.電気エネルギーを水素産生に使うとエネルギー変換ロスが生じます。また水素分子は小さくて漏れやすく、輸送も貯蔵もコストがかかり、とても危険でもあります。
水素のパイプラインは住民に説明と合意が必要です。液体水素のタンクローリーが福島を走り廻って大丈夫でしょうか。
電気エネルギーは電気エネルギーのまま使うのが、無駄がなく効率的です。
水素エネルギーは次代のエネルギーとして大きく期待されてはいますが、水素産生は陸地から遠く離れて送電しにくい浮体式の海洋風力発電でこそメリットがあります。
まずは利害のない学者による現地の調査です。
充分な検討、そして説明がないままに業者を入れて強引に進めてしまうと、東京の豊洲市場の二の舞になります。