貼り付ける新素材…熱と薬で、がんダブル攻撃
がんの患部に貼り付け、熱と抗がん剤のダブル攻撃で治療できる可能性のある素材を開発したと、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)が14日、材料科学の専門誌電子版に発表した。
体の組織は、温度が高くなると血流を増やして放熱する。がん組織の血管はその機能が不十分で、正常組織より熱に弱い。加熱しながら抗がん剤などを使うと、効果が高まるとされる。
荏原充宏・同機構主任研究員らは、温度が上がると縮む性質のある高分子に、磁場をかけると温度が上がる物質と抗がん剤を加えて化学反応させ、繊維状に加工した。この繊維に磁場をかけると発熱し、収縮して抗がん剤が外へしみ出す。
培養した皮膚がんの細胞の上にこの繊維を置き、磁場を2回(各5分間)かけて45度まで熱したところ、がん細胞は5日後に27%まで減少した。抗がん剤だけを加えた時は40%までしか減らず、何もしないと2・4倍に増殖した。
研究チームは、皮膚がんのほか、食道など様々な臓器の粘膜に発生する「 扁平 ( へんぺい ) 上皮がん」の治療に応用できると期待している。
(2013年6月15日13時40分読売新聞)
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癌は体の一部でもあるので、抗癌剤を癌細胞にだけ特異的に効かせるというのがとても難しくて、いろいろ副作用を伴います。
この本質的な問題に対して多くの試みが試行されていて、これもそのひとつです。大いに期待します。
さて、この技術を開発している物質・材料研究機構という独立行政法人があります。
物質や材料について徹底的に研究することは、全ての工学の基礎であって、とても重要な存在です。
この機構の略称ニムス(NIMS=National Institute for Materials Science)は世界的に有名で、ここが提供している物質と材料のデータベースは大変権威のいデータとして全世界で利用されています。
民主党政権の仕分けの際にはここにも魔の手が伸びて、危うく整理・統合されてしまう危機がありました。恐らく彼らは自分達が理解できない研究をしているような機関は必要ではないと感じていたのだと思います。
科学技術を疎かにするような国には未来は拓けません。