日本の金星探査機「あかつき」を覚えておられますか?
2010年5月に打ち上げられ、同年7月には金星を周回する軌道に入る筈だったのが、思わぬトラブルが発生して減速できず、金星を通過してしまいました。
そのときの驚きと悔しさ、抑うつ感は忘れられません。
当時は「はやぶさ」が満身創痍で奇跡的に帰ってきた感動的な時期でもあり、「決して諦めるな」という声が日本中から沸き起こりました。
さて、その「あかつき」ですが、金星より僅か内寄りのコースを太陽を中心に廻っています。
公転周期は「あかつき」203日<金星225日<地球365日です。
「あかつき」と金星が再び接近するのが、あれから6年後の2016年です。
JAXAはこのチャンスに再度チャレンジすると思いますが、既にスラスタ(小型ロケット)が壊れているとも予想されていて、金星周回軌道入りは小さい望みです。
これまでの4年間、ただ漂っているだけと思われていましたが、金星を観測する機器を使ってちゃんと仕事をしてました。それも大きい成果です。
宇宙には風が吹いています。もちろん空気はありませんから地球上の風と同じではありません。これは太陽が放出するプラズマ(電荷を帯びた希薄なガス)の流れで、「太陽風」と呼ばれています。
「あかつき」と同じロケットで一緒に打ち上げられた「イカロス」は人類初の宇宙ヨットです。ヨットが風で進むように「イカロス」は太陽風を受けて自由に進みます。
左:中央の部分に帆が格納されていて、開ければこの大きさ
右:宇宙ではだれも写真を撮ってくれないので、ミニカメラを放出して自分撮り
「イカロス」は大成功しました。詳しいことはこちらへ
「あかつき」の2010年の金星周回軌道投入失敗で、私のようなオタクでさえガックリしたのですから、JAXAの担当チームの失意はいかばかりだったでしょうか。
しかし翌年(2011年)にチームは面白いことに気付きます。
「あかつき」と太陽、地球が一直線に並ぶ時期が来る。
滅多にないチャンスを活かす観測が行なわれ、その後にデ-タの解析などが行われ、今回の大発見の発表に至りました。
太陽風の速度は太陽の間近よりも、太陽の半径の5倍離れたあたりで急に速くなり、400km/s(時速150万km)に達することなどです。
詳しいことはJAXAの発表資料にどうぞ。
めげずに頑張るJAXAのスタッフ、GJです!